割増賃金の計算方法

1.割増賃金計算の基準となる時間給

 通常の時間外手当、すなわち、法定の労働時間を超えた労働時間に対する割増賃金が2割5分増しということは、どなたでもご存じのことでしょう。たとえば、時給が1000円の労働者がいたとします。この労働者が1日8時間の所定労働時間のところ、9時間働いたとします。もちろん36協定が締結されているということを前提として、この場合は1250円の残業手当を支払うことになりますが、その内訳は1000円の追加賃金及び250円の割増賃金ということになります。ということは、この会社の所定労働時間が仮に1日の7時間だったとすると、同様に9時間働いた場合、2時間分の追加賃金2000円及び1時間分の割増賃金250円で、残業手当は2250円ということになります。

 ところで、賃金が年俸制、月給制、日給制又は時間給制のいずれの形態をとっていても、割増賃金は全て1時間当たりの単価に換算して算定しなければなりません。日給制及び時間給制の場合には、比較的話は簡単です。しかし、年俸制及び月給制の場合、次のような計算を行って1箇月平均の所定労働時間を算出した上で、その従業員の時間給を算出する必要があります。

年俸制及び月給制労働者の1時間当たりの単価 = その労働者の月給額 ÷ 1箇月平均の所定労働時間数

1箇月平均の所定労働時間数 = (365 - 年間所定休日日数) × 1日の所定労働時間数 ÷ 12(小数点第3位以下切り捨て)

 完全年俸制又は完全月給制であっても、遅刻・早退・欠勤等が有った場合は、当然にその時間分の賃金を所定の賃金から控除することができます。

 年間賞与分を含めた年俸制を採用している場合、その賞与分も割増賃金の算定対象賃金とみなされます。これは、労働法では予め年間支給額が確定している賞与は、例え1年間に1~3回に分けて支払われるものであっても賞与とはみなされないからです。

 このとき、割増賃金の算定の対象から外される諸手当があります。言い換えると、以下の7手当以外は、割増賃金算定の対象から除外することはできません。周知のことですが、念のため以下に挙げておきます。

(1)家族構成に応じて支給可否と支給額が決定される家族手当及び子女教育手当
(2)交通費実費又は通勤距離に応じて支給額が決定される通勤手当
(3)単身赴任者のみに支給される別居手当
(4)家賃(又は住宅ローン)の額等に応じて支給可否と支給額が決定される住宅手当
(5)支払期間と計算期間の両方が1箇月を超えている手当(賞与など)
(6)子女教育手当
(7)臨時に支払われた手当(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金など)

 また、定額残業手当を支給している場合の割増賃金の扱いについては、毎月労働時間を正確に管理し、毎月不足額を精算しなければならない点において通常の残業制度をとった場合と大差はないということですが、詳細については以前掲載しました記事 定額残業手当をご参照ください。


2.割増賃金計算における端数処理

 割増賃金の計算をする際、給与計算を合理的に行うことを目的に以下のような処理をすることが認められています。

(1)1箇月における時間外労働、休日労働、深夜労働のそれぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げること。
―――例えば、1箇月の時間外が10時間25分であった場合10時間とし、10時間35分であれば11時間とすること。

(2)1時間当たりの賃金額及び割増賃金に円未満の端数が生じた場合は、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
―――例えば、割増賃金計算の基となる1時間当たりの単価が1250.4円のときは1250円とし、1250.6円のときは1251円としてよいということ。

(3)1箇月における時間外労働、休日労働、深夜労働のそれぞれの割増賃金の総額に、1円未満の端数が生じた場合は、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を切り上げること。


3.年次有給休暇中の賃金

 同じ類の話ですが、年次有給休暇を取得した日の賃金の算定については、以下の3つのうちから1つを選択し、就業規則等に記載しておかなければなりません。従って、一旦決めたら事業主が恣意的に使い分けることはできません。実務的には、「(2)所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金」を使っている場合が多いようです。

(1)平均賃金
(2)所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金
(3)健康保険法における平均標準報酬日額

 また、(算定事由発生日以前の3箇月間に支払われた賃金総額)÷(3箇月間の総歴日数)で求められる平均賃金が使われるは、(1)解雇予告手当、(2)休業手当、(3)年次有給休暇中の賃金を平均賃金と定めた場合、(4)災害補償、及び(5)減給制裁の制限額を算定する場合の5つです。

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