退職共済年金の在職による年金支給停止の仕組み

1.退職共済年金の受給権者が在職者である場合

 退職共済年金の受給権者が60歳を過ぎても在職者である場合というのは、大きく分けると次のようになります。

(1)60歳で退官し、民間に再就職したので、厚生年金の被保険者等となる場合(国家公務員法81条の2及び地方公務員法28条の2は、公務員の定年退職年齢を60歳と規定しているので、これは普通に起こり得る事例です)
(2)60歳で一旦退官しますが、特別な事情で60歳以降に再任されるなどで、組合員となる場合
(3)60歳で退官し、個人事業主として働く、又は正社員の四分の三の所定労働時間で働く場合

 このうち(3)は、共済組合の組合員でも厚生年金保険の被保険者でもないので、退職共済年金の支給停止は問題になりません。次に(1)ですが、「厚生年金の被保険者等」の中には、私学共済制度の加入者及び特定教職員等又は国会議員若しくは地方議会の議員も含まれます。この場合には、職域加算額及び加給年金額を除いた退職共済年金の12分の1の額である基本月額と総収入月額相当額(厚年の総報酬月額相当額に同じ)との合計額が停止解除調整変更額の46万円(平成23年度)を超えた額に二分の一を乗じた金額を支給停止額とします。年金は、文字通り年額で見ていきますので、支給停止額は、次の式で表されます(国家公務員共済組合法80条、地方公務員共済組合法82条等)。また、厚生年金の高在老と同様に70歳以上にも適用されます。

支給停止額={(基本月額+総収入月額相当額)-46万円}×1/2×12

 次に(2)の場合です。公務員は、定年が原則60歳であること、受給権の発生が退職を前提に65歳からが原則となっていることから、(1)に比べて想定しずらい感じもするのですが、退職共済年金の受給権を取得しているのと同一の共済組合の組合員として在職し続けるという事態が生じた場合、「退職共済年金の受給権者が組合員であるときは、組合員である間、退職共済年金の支給を停止する」のが原則となります。そして、その例外として、職域加算額及び加給年金額を除いた退職共済年金の12分の1の額である基本月額と総報酬月額相当額との合計額が停止解除調整開始額の28万円以下である者については、支給停止を行わず、基本月額と総報酬月額相当額との合計額が停止解除調整開始額の28万円を超える者については、厚生年金保険法の低在老と同一の方法で支給停止額を決定することになっています(国家公務員共済組合法79条、地方公務員共済組合法80条等)。


2.老齢厚生年金の受給権者が共済組合の組合員である場合

 高在老について規定した厚生年金保険法46条1項は、「老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日若しくはこれに相当するものとして政令で定める日又は70歳以上の使用される者(前月以前の月に属する日から引き続き当該適用事業所において第27条の厚生労働省令で定める要件に該当する者に限る。)である日...」といい、低在老についての同法附則11条1項は、「附則第8条の規定による老齢厚生年金(第43条第1項及び附則第9条の規定によりその額が計算されているものに限る。第5項において同じ。)の受給権者が被保険者である日が属する月において...」と規定しています。つまり、厚生年金の在職老齢年金に関する規定は、私学共済制度の加入者及び特定教職員等の在職者を含めて適用されるものではあり得ず、したがってこのような在職者が老齢厚生年金を受給することを制限することはありません。

 次に、例えば20歳から60歳までの間に、厚生年金保険の被保険者であった期間が20年、共済組合の組合員であった期間も20年であったような場合、在老の仕組みをどのように当てはめるのかということを考えてみます。60歳以降、厚生年金保険の被保険者である場合には、老齢厚生年金として受給している年金について、厚生年金保険の在職老齢年金の支給制限の計算を行い停止額を決定します。また、退職共済年金については、退職共済年金として受給している年金についてのみ、前述した基本月額と総収入月額相当額(厚年の総報酬月額相当額に同じ)との合計額が停止解除調整変更額の46万円(平成23年度)を超えた額に二分の一を乗じた金額を支給停止額とする計算を行って支給停止額を決定することになります。

 また、同じ例で、今度は60歳以降私学共済制度の加入者及び特定教職員等である場合には、老齢厚生年金について支給制限は問題にならず、退職共済年金について、この退職共済年金が今現在加入している共済制度と同じ私学共済制度からのものである場合には、前述の厚生年金保険における低在老と同様の仕組みによる支給制限となり、退職共済年金が今現在加入しているものとは異なる共済組合の年金である場合には、基本月額と総収入月額相当額(厚年の総報酬月額相当額に同じ)との合計額が停止解除調整変更額の46万円(平成23年度)を超えた額に二分の一を乗じた金額を支給停止額とする計算を行って支給停止額を決定することになります。

 ちなみに、上の例のように厚生年金保険の被保険者であった期間及び共済組合の組合員であった期間がある場合、厚生年金保険の管掌者は国であり、退職共済年金の保険者は共済組合なので、裁定請求の手続きには、老齢厚生年金については国家公務員共済組合連合会などが発行した「年金加入期間確認通知書」を、退職共済年金については厚生労働省が発行した「年金加入期間確認通知書」及び「標準報酬月額等届」を添付しなければなりません。

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2016年05月14日 17:15 from -

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