身体論_その1

1.身体論とのかかわり

 運動神経を誇ることは到底できない小生ですが、身体を動かし、鍛錬することを若い時から心掛けてきました。流石に若い頃のいきなりエンジン全開のような運動の仕方が出来なくなってきたものですから、数年前に流行った古武術の甲野善紀氏の身体論の本を数冊読んだのをきっかけに、興味をもって学んでいるのが人間の身体能力を欧米流とは違った切り口から論じてみようという「身体論」の分野です。

 甲野善紀氏は、氏のライフワークとも言える古武術研究の成果から、ナンバ歩き、魚群が一斉に方向を変えるような身体の使い方、身体を割ることなど様々なことを提唱されておられますが、その中でも最も重要な指摘は、「従来の筋力強化に頼ったトレーニングでは、技を出す時に身体をねじる、ためるという作業が必ず発生し、うねりを消すことが出来ないため、技を出す速度や力には自ずと限界が生じてしまう。また、武術の世界では避けなければならない『居つき』の瞬間が身体をねじったり、ためを作ったりするたびに生じてしまう」ということです。

 また、丹田とは何かということについて、次のように論じられておられます。これを読んで以来、小生自身水泳のときなど、肩関節や股関節支点ではなく、丹田に支点があるという意識で運動しているのですが、確かに疲れが格段に軽減されたように感じています。

 

2.丹田とは何か

 「ところで、武術、武道というと腹だの丹田だのという話がよく出てくるわけです。では具体的に丹田とは何なのかというと、『それは大切らしい』程度の認識しかないのです。私(甲野善紀氏)なりに、支点を消す動きと言う見地から見ていくと、腰とか、足の裏とかは、どうしても骨があるから、そこがいわゆる支点になりやすい。ところが、腹と言うのは骨がないですから、腹の部分に支点を置くようにしても、普通の意味での支点とは全然異なります。感覚的には、丹田を支点にしても居付きがなくなるというか、しっかりしていながら自由自在で具体的には益々技が効くようになる。東洋において、古来から下腹丹田を重視してきたのはなぜかと言うと、別に下腹から何か得体の知れない力が出るわけではなくて、支点をそこに置くと、全身がうまく協調的に動いてくれるからじゃないか、と言うような仮説を立てています。

 ごく一般的に踏ん張った動きであれば、身体のかなりの部分は、単なる伝達機関であったり、梃子の棒であったりして、その動きに直接参加できない。ところが、丹田に支点を置くと、どうやら身体中が直接参加できる。そうすると身体各部の出力はわずかであっても、全員が参加するから、全体としては、非常に強力な力になると言うことなのです。下腹丹田に力を入れろと言うことではなくて、そこに力の支点が集まるような身体操作をうまくやっていくと、身体中、それぞれ無理のない範囲で力を出し、それらが集まって強大な力になる。だから、これをうまく利用すれば、運動選手が練習のしすぎで筋肉や腱を痛めることもなくなり、加齢によって体力が衰えても、使い方がうまくなっていれば、動きがうまく整理されて、無駄のない効率のいい動きができるだろうと思うのです。」(甲野善紀氏著作より要約・抜粋)

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