社内研修の業務性

1.語学習得をを目的とした研修

「大所高所から人材を育成することを目的とした」海外留学などではなく、一般的な業務関連の研修の場合は業務性有りと判断される場合が多くなるのではないかと思います。例えば、経理担当者に経理に関する研修や簿記検定の資格を取得させるための研修を受講させる、営業担当者に営業実務に役立つ研修を受講させる、管理職に管理職向けの研修を受けさせる、などです。これらの研修についてその費用を事業所が負担してまで従業員に受講させることの目的は、やはりその担当業務の遂行に有益であるからと考えるのが自然です。従って、これらに要した費用が高額であったとしても、受講した従業員が早期に退職したからといってその返還請求をすることは、「研修受講に業務性有り」ということから通常認められないと考えられます。

近年、我が国の国内市場が少子高齢化の影響で縮小傾向にあることから、今後海外市場を志向する企業が益々増加し、従業員に語学の習得を求める企業が多くなると思われます。次のような語学留学制度を創設した場合、早期退職時の費用負担の問題は、どう考えるべきでしょうか。(1)応募は本人の自由意思、(2)留学先選定は自由、(3)語学力は今のところ直接の業務に関係ない。

しかし、語学留学の場合、留学制度の目的が将来の外国語対応の必要性から生じたものであり、留学先の選定が語学の必要性からおのずと限られてきます。実際、語学留学で留学先の選定を留学生候補の自由に任せるということは考えにくいことです。また、この留学候補者が留学を追えた後、近い将来この語学力を使う業務に配属される蓋然性は非常に高いといえます。従って、語学留学の場合には、通常の経営学修士号などの取得を目的とした留学に比べ、業務性有りと判断される可能性は、より高いと考えられます。

2.早期退職で研修費用を全額負担とならない場合

結論としては、会社がその費用を負担してまで従業員に研修を受けさせているのは、研修受講が結果的に将来の業務の遂行にとって有益だからと考えているからで、「業務性有り」と判断されることはやむを得ないことです。せっかく研修を受講させたのにもかかわらず、従業員が早期に退職してしまうという問題への対策は、(1)受講希望者に受講費用を貸し付けるだけに留め、毎月返済させる制度にする、(2)受講希望者に一部費用を補助する制度にする、といった発想の転換を行うしかないのではないでしょうか。

(1)場合、従業員とは金銭消費貸借契約を締結し、資格を取得した場合にはその分の資格手当を支払う制度などを別途創設して、やる気のある従業員に報いるということはできます。なお、一般論として、金銭消費貸借の場合金利水準などにも税制との関係を考慮する必要があります。

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