震災復興にいくらかかるのか(試算)

本日、恫喝発言で問題になった復興相が就任後10日足らずで辞任され、現政権は文字通り死に体の様相を益々濃くしております。政局は否が応にも煮詰まって来ている感じですが、その一方で、「震災復興への対応」やら「社会保障と税の一体改革」やら、増税に絡む議論もちらほら聞こえてきています。

そこで、我が国の財政は確かに危機的な状態なのですけれども、今回の大震災で受けた被害を復興させるのにどのくらいの財源が必要なのかという点について、JPモルガン証券の日本株ストラテジスト 北野一氏が5月に試算されている内容をご参考までに紹介したいと思います。政府(内閣府)が消費税増税の根拠の一つとして掲げている試算16兆円から25兆円程度よりもかなり少ない額を上げられています。北野氏の主張の要旨は以下の通りです。

1.国土地理院は、空中写真などを用いて津波による浸水範囲の判読作業を行っています。4月18日に「津波による浸水範囲について(第5版)」が公表され、これによれば、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県62市町村の浸水範囲面積の合計は561平方キロメートルでした。

2.この62市町村の人口の合計は、359万人です。そこで、市町村ごとに浸水面積の比率を計算し、それを人口に乗じることで、浸水地域の人口を推定することができます。市町村ごとに計算するのは、浸水面積の比率が60%を超える地域がある一方、1%以下の地域までばらつきがあるからです。こうして試算された浸水地域の人口の合計は、26万人になります。

3.青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県のGDPの合計は57兆円です(2007年)。これは、日本全体のGDP520兆円の約11%を占めています。一方、6県の人口は、合計すると1629万人で日本の総人口1億2777万人の約13%です。ここから、人口とGDPとの間に強い相関関係があると仮定すると、浸水地域のGPDは、次の式で求められ、約1兆円という数字が導かれます。

26万人÷1629万人×57兆円≒1兆円

4.次に1兆円のGDPを産み出すために必要な資本ストックはどの程度なのかという点です。我が国の資本係数(資本ストック÷GDP)は、近年2.4程度とされています。従って、この2.4という数字をそのまま用いることができるとすれば、1兆円×2.4=2.4兆円ということになります。

5.東日本大震災における人的被害の9割以上は、津波によるものです。仮に物的被害についても、大部分が津波によるものであると仮定できるならば、被害は浸水地域に集中していることになり、浸水地域の被害から試算した2.4兆円を大きく上回る被害総額は想定しずらいことになります。


ちなみに阪神淡路大震災の被害総額は、約10兆円で、復興資金は13兆円だったといわれています。北野氏の試算は、東日本大震災における人的被害の9割以上は津波によるものであるから、物的被害についても、大部分が津波によるものであると仮定し、被害は浸水地域に集中していることを前提に被害額を推定していますが、その推定値は、内閣府の推定値の6分の1から11分の1で、政府が言う数字とは大きく乖離しています。

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