公務員と労働法

労働基準法及び労働契約法の適用除外として公務員が「同居の親族」と並んで挙げられることがありますが、公務員と言っても国家公務員、地方公務員などいろいろありますので、少し踏み込んでの整理を試みたいと思います。


1.労働基準法

(1)一般職の国家公務員

労働基準法116条2項は、① 同居の親族のみを使用する事業、及び② 家事使用人については、労働基準法が適用されないとしています。一方で、112条は労働基準法の国、都道府県、市町村などへの適用を謳っています。

しかし、公務員に対する労基法の適用はかなり複雑な仕組みになっています。

まず、一般職の国家公務員については、労基法の適用は原則なしと考えます。その根拠は、国家公務員法附則16条で一般職の国家公務員に対する労基法の適用除外が規定されているからです。労働基準監督機関の職権の行使も当然できないと考えます。一般職の国家公務員とは、特別職に属する職以外の全ての国家公務員であり、特別職は法律上明文で列挙されています。

ところが、ここに国の機関に使用される労働者ですが、労基法の適用除外にならない人たちがいます。旧三公社五現業などですが、これらが今現在どのようになっているかを整理します。三公社五現業とは、公共企業体労働関係法、公共企業体等労働関係法、国営企業労働関係法、国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律又は特定独立行政法人等の労働関係に関する法律の適用を受けていた、又は現在も受けている公共企業体及び国の経営する企業の総称です。

日本専売公社、日本国有鉄道、日本電信電話公社の三公社については、いずれも解散の上、日本たばこ産業、JR、NTTに移行されて民営化されており、ここでの議論の余地はありません。

郵政事業、国有林野事業、日銀券及び郵便はがき等の印刷事業、造幣事業、及びアルコール専売の五現業については、郵政事業が日本郵政公社に移管後、郵政民営化によって民営化が図られ、公社は解散しています。印刷事業、造幣事業、及びアルコール専売事業は、それぞれ国立印刷局、造幣局、新エネルギー・産業技術総合開発機構として独立行政法人化されています。

この内の現業として残った国有林野事業及び特定独立行政法人である国立印刷局及び造幣局については、役職員に国家公務員の身分が残されています。この他に特定独立行政法人(別名国家公務員型独立行政法人)とされるのは、次の独立行政法人です(2010年4月現在)。

・国立公文書館 (所管内閣府)
・統計センター (所管総務省)
・国立病院機構 (所管厚労省)
・農林水産消費安全技術センター (所管農水省)
・製品評価技術基盤機構 (所管経産省)
・駐留軍等労働者労務管理機構 (所管防衛省)

これらの国営企業及び特定独立行政法人には、国家公務員の身分が残されていますが、労基法は適用されます。その根拠は、「国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律」37条1項で国家公務員法附則16条を適用しないことになっているからです。

これ以外の独立行政法人では、役職員はそもそも国家公務員には当たりません。国家公務員がこれらの独立行政法人に出向する場合には、原則として退職の扱いになります。

(2)特別職の国家公務員

特別職の国家公務員とは、国家公務員法で列挙されている公務員です。すなわち、内閣総理大臣、国務大臣、副大臣及び大臣政務官、大使及び公使、裁判官及び裁判所職員、国会職員、防衛省職員、並びに特定独立行政法人の役員など国家公務員法2条3項に掲げられている公務員です。裁判所職員、国会職員及び防衛省の職員について労基法は適用除外です。それ以外の特別職の国家公務員については、労基法上の労働者である限り全面適用になります。

(3)地方公務員

一般職の地方公務員には、労基法は原則として適用され、その一部が適用除外とされます。適用されない規定とは、賃金の支払い、変形労働時間制、年次有給休暇の計画的付与、労災補償及び就業規則などです。また、地方公営企業の職員には労基法75条から88条の労災補償の規定を除き労基法が全面的に適用されます。

特別職の地方公務員については、労基法上の労働者である限り全面適用になります。


2.労働契約法

労働契約法は、労働基準法とは異なり、私人間のことを定めた私的自治の世界の法律であるせいか、いたって単純です。すなわち、第5章雑則 19条で、「国家公務員及び地方公務員については、適用しない。」と明確に規定されています。

コメント

非公開コメント

トラックバック

http://yokoteoffice.blog130.fc2.com/tb.php/161-cff059ef