有期労働契約における解雇の問題_2

有期労働契約における解雇の派生問題に当たる事例が、東京都社会保険労務士会会報4月号に掲載されていたので紹介します。いすゞ自動車事件(宇都宮地裁栃木支部 平成21年5月12日決定)であり、「使用者による休業措置と民法536条に基づく賃金請求権」と題して労働判例研究会の佐藤功氏が行った研究発表の要約です。

1.事案の概要

平成20年(2008年)秋以降の世界的な金融危機の中、使用者は、需要の大幅な落ち込みによる生産計画の縮小を理由に、期間労働者を労働契約期間途中で解雇することとし、解雇予告を行いました。その後、少数組合の要求を受けて解雇予告を撤回した上で、合意解約を申し入れ、それに応じない少数組合員に対して期間満了までの間休業を命じ、平均賃金の60%の休業手当を支給することにしました。この措置に対して、少数組合員側が民法536条2項に基づき、賃金請求権は消滅しないとして支払いを止められた差額40%の仮払いを求めたものです。

宇都宮地方裁判所栃木支部(橋本英史裁判官)は、2009年5月12日、いすゞの差別的な賃金カットに合理性がないとして、カットされた40%の賃金全額の仮払いを認める労働者側の100%勝利決定を下しました。

2.解 説

本件の主な争点は、労働者が使用者の休業命令によって、労務提供を履行することができなくなったとき、労務提供の反対給付たる賃金請求権が存在するか否かという点です。そこで民法536条の問題になってきたわけですが、債務者の危険負担等について民法536条は、次のように規定しています。

第536条 前2条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。

2.債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

(休業手当)
第26条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

本決定では、使用者は休業命令に合理性があることを立証した場合、使用者の帰責事由が否定されるとし、またその合理性の判断基準は労働契約法10条「就業規則の不利益変更」と同様の要件が必要であるとした上で、本件休業命令はその要件には該当しないと判断しています。

就業規則の不利益変更_第四銀行事件


20110408_桜@不忍池004

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