雇用保険の失業給付と年金_1

 「特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の失業給付(基本手当)は同時には受給できません。」また、「厚生年金保険の被保険者で、特別支給の老齢厚生年金を受けている人が雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けるときには、在職による年金の支給停止に加えて、年金の一部が支給停止されます。」 これらが原則です。

 まず、後者の特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との間における調整ですが、そもそも高年齢雇用継続給付の支給要件が、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者を対象にするということになっていますので、65歳から支給される本来の老齢年金は調整の対象にはなりえないのです。また、賃金額が60歳到達時の75%未満になった人が支給対象になりますから、幸いにして75%以上の賃金を確保できている人は、そもそも高年齢雇用継続給付の対象になっていないので、年金との調整も当然必要ありません。このあたりの話は、以前に在職老齢年金について書いた記事で触れています。在職老齢年金(2)

 次に、基本手当との調整についてですが、その前に今回は雇用保険について少し復習をしておきたいと思います。


1.雇用保険の適用事業

 雇用保険の大原則は、「労働者が雇用される事業」に適用されるということです。従って、労働者が1人でも雇用される事業である限り、その事業は適用事業となります。しかし、ここでも例外があって、常時5人未満の労働者を使用する個人経営の農林水産業は、暫定任意適用事業ということで、その事業に使用される二分の一以上の労働者が希望しない限り、事業主は加入の申請をしなくてもよいことになっています。


2.被保険者

 適用事業に雇用される全ての労働者は、次の適用除外に該当しない限り、必ず雇用保険の被保険者になります。

(1)65歳に達した日以後に雇用される人
(2)短時間労働者であって ①季節的に雇用される人、②短期雇用(1箇月未満)に就くことを常態とする人。(短時間労働者への労働保険及び社会保険の適用
(3)日雇労働被保険者に該当しない日雇労働者
(4)4箇月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される人
(5)国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される人で、国家公務員、地方公務員及び独立行政法人の職員などのように離職した場合、雇用保険法以外の法律等で十分に保護されている人


3.被保険者の種類

(1)一般被保険者

 一般被保険者とは、(2)、(3)、又は(4)以外の被保険者のことです。短時間労働者である一般被保険者と短時間労働者でない被保険者に分けられます。

(2)高年齢継続被保険者

 同一の事業主の適用事業に65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後も雇用されている被保険者です。高年齢継続被保険者も短時間労働者である高年齢継続被保険者と短時間労働者でない高年齢継続被保険者に分けられます。

(3)短期雇用特例被保険者

 ①季節的に雇用される人(出稼ぎ労働者など)
 ②短期雇用に就くことを常態とする人(短時間労働者への労働保険及び社会保険の適用

(4)日雇労働被保険者

 ①日々雇用される人
 ②30日以内の期間を定めて雇用される人


(註)船員保険
制度としては一般の健康保険相当部分(職務外疾病部門)と船員労働の特性に応じた独自・上乗せ給付を行う部分の2階建て的なものになっている。 かつては独自の年金、雇用保険及び労災保険制度もあったが、年金の部分は1986年(昭和61年)に厚生年金へ、雇用保険及び労災保険の部分は2010年(平成22年)に一般の雇用保険と労災保険にそれぞれ統合された。(職務上疾病・年金に関する給付については、労災保険制度に相当する部分を労災保険制度から給付することとし、それではカバーできない部分については、引き続き船員保険制度から給付することとされた。)

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