最近の米国株式の上昇と食糧価格高騰の関係

 最近の米国株式市場は、力強い上昇相場となっています。この強気相場の背景にあるものは一体何なのか。この疑問に答える記述を見かけたので、骨子を転記します。まずその前に、この週末仏で開催されているG20財務相・中央銀行総裁会議についてです。主な議題について、「世界的な食糧価格高騰への対応として行き過ぎた価格変動の原因を調べる作業部会の設置で合意する見通しであり、一方、世界経済の不均衡を把握するための参考指針に経常収支など4指標を採用することで調整している。」と報道されています。

 「世界的な食糧価格高騰」つまり、昨年夏以降、大豆も小麦も先物価格は30%以上、トウモロコシは50%以上の上昇を記録しています。チュニジアに始まり、エジプトに波及してムバラク超長期政権を打倒し、リビアやバーレーンにも波及している中東政変の有力な要因の一つが、この食糧価格高騰に対する国民の不満であるとされています。円高デフレの悪循環に陥っている我が国ではいま一つピンとこない議論なのですが、どうやら世界的にはそういう流れのようです。

 食糧価格高騰の原因としては、新興国の需要拡大や異常気象による不作に加え、先進国の金融緩和による「金余り」で投機資金が商品市場に流入していることが挙げられているようです。特に米国などの主張は、新興国の需要拡大が主な原因であるということなのでしょう。しかし、昨年夏あたりからにわかに価格高騰が始まっていることからして、Wall Streetから米国市場について発信する堀古英司氏は、米国の財政を伴う金融緩和策こそがその主犯であるとして、次のように述べています(第278回 物価が上がっているのか通貨が下がっているのか?)。

1.昨年夏以降、大豆、小麦及びトウモロコシなどの先物価格は30から50%以上上昇していますが、この間、アメリカの主要株価指数であるS&P500指数は25%上昇していますし、原油価格も20%近く上昇するなど、食料以外の価格も大きく上昇しているのです。そしてこれらの価格に共通なのは、全てドル建てで表示されているということです。

2.2010年8月27日バーナンキFRB議長がジャクソンホールで第二弾量的金融緩和を示唆し(註)、その後、約50兆円に上る第二弾量的金融緩和も結果的に約70兆円規模の財政を伴うことになったため、第一弾量的緩和同様、通貨のばら撒きになりました。これで通貨の価値が下がらない(=モノの価格が上がらない、となりますが)方が不思議です。

3.食糧価格の上昇の一因が量的緩和にある事は明らかです。もっとも食料価格が上昇しているというよりも、ドルをばら撒いているからドルの実質価値が下がり、結果的にドル建て表示のモノの価格全般が上昇しているように見えているだけなのですが。

 要するに、今回の米国株高もドル価格の下落と連動しているという訳です。その観点で日本株を見てみますと、昨年の5月GW明けの為替相場が大体1ドル94円程度、日経平均が10695.69でしたが、直近の相場は、それぞれ83.5円及び10842.80ですので、株式指数は夏以降9000円台割れまで下落しているものの1%余りの上昇ですが、ドル建てでみると14%の上昇ということになります。

 小生は、我が国が陥っているデフレは生産年齢人口の減少による構造的なものだと考えます。しかし、深刻な生産年齢人口の減少という事態には至っていない米国の場合、デフレは構造的なものではなく、景気循環的な側面の方が強く出ているため、この強烈な金融緩和政策にも後押しされて回復軌道に乗ってきたのではないかという見方をしたいと思います。つまり、ドルばら撒きによるドル建て表示のモノの価格の全般的上昇に加えて、自律的な景気の回復局面に入ったという見方です。

 財政赤字に加えて、莫大な経常赤字を抱える米国経済の病は深刻であり、一極主義の後退が今日の世界情勢を生み出しているという見方には賛成しますが、目先の米国経済の先行きは気持ち楽観の度合いが強まっている感じがいたします。

(註)バーナンキFRB議長がジャクソンホール講演
 米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、連邦公開市場委員会(FOMC)が景気回復の継続を確実にするため、「あらゆる可能な手段を講じる」と表明。成長が減速した場合に取り得る選択肢を明らかにした。
 議長は27日、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれたカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで、「連邦公開市場委員会(FOMC)は、必要と判断されれば、非伝統的手段を通じて追加の金融緩和策を講じる用意がある。景気見通しが著しく悪化した場合には特にそうだ」と語った。
 バーナンキ議長は米経済について詳しく分析。この1年間の経済成長は「弱過ぎ」、失業率は「高過ぎる」との認識を示した。ただそれでも、財政面での刺激策や在庫補充が個人消費や設備投資に与える効果は「続いているようだ」と述べた。また、2011年の景気上向きへの前提条件は「引き続き整っているように見受けられる」と説明した。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=avAOtkLrrCh4

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