国民年金第3号被保険者の未納問題

 昭和60年の年金制度大改正(施行は61年4月)で始まった制度の内の一つである第3号被保険者について、また新たな問題が生じています。小生も新聞社説が指摘するように、そもそも被保険者各人が保険料を支払っているわけではないのに国民年金の被保険者となることができ、基礎年金が支給されるという奇妙な制度に疑問を抱かずにはいられなかった者の一人です。

 そこに、さらなる運用上の矛盾が積み上げられようとしているのが、今回新聞社説が指摘している問題です。本来第3号被保険者としては認められず、第1号被保険者として「未納期間」とされる典型的な場合は、1.被用者から扶養される妻(夫)として第3号被保険者だった者が離婚したが、種別変更の届け出をしないで、そのまま第3号被保険者になっていた場合、2.被用者から扶養される妻(夫)として第3号被保険者だった者の配偶者が一時的に退職して、職探しなどで被用者ではなかった期間、種別変更の届け出をしないで、そのまま第3号被保険者になっていた場合、3.被用者から扶養される妻(夫)として第3号被保険者だった者が、個人事業などで自身の収入が増えて被扶養者でなくなったにもかかわらず、そのまま第3号被保険者になっていた場合、などが考えられます。

 これらの場合について、本来の第1号の保険料「未納期間」ではなく、第3号被保険者であったとみなされて、保険料も納めていたとして処理されるというものです。これまでは、遡って本来第3号であった期間があるのに、届出が出ていなかったために第3号になっていなかった期間を遡って救済するという特例措置はあったのですが、今回の特例措置はかなり強烈です。


=== 朝日新聞「社説」より引用 ===

主婦の年金―この不公平は許されない 
2011年2月2日

 サラリーマンの妻を主な対象にした年金の「3号被保険者」の扱いで、正直者が損をする状況が生まれている。行政がつくったこの不公平を放置することはできない。3号は自分で保険料を払わなくても年金に加入できる。しかし、夫が脱サラしたり、本人の収入が多くなって扶養を外れたりすれば、妻は届け出をして3号から1号被保険者になり、保険料を払うことが法律で義務づけられている。夫がリストラで職を失った場合も同様だ。

 ところが、本人が届け出をしなかったため、3号のままの記録になっている人が数十万人から100万人もいることが分かった。そこで厚生労働省は今年1月から、こうした人たちに最近2年分の保険料を請求するが、それ以前は、夫がサラリーマンをやめるなど3号に該当しない期間でも3号と認めることにした。

 届け出をして1号に切り替え、保険料を納めてきた人に比べて不公平だ。従来は届け漏れが見つかれば「未納」とされ、将来受け取る年金を減額されてきた。「従来の扱いだと、低年金や無年金になる人がたくさん出る」「苦情が殺到し、対応しきれない」と、厚労省は「救済」の必要を強調する。だが、すでに記録を訂正して、低年金や無年金になった人は救済されない。日本年金機構の現場職員からは、「今後も切り替えない方が得だという人が出てきかねない」といった心配の声が出ている。

 より公平な方法も、現場の職員や社会保険労務士から提案されている。保険料を払えるだけ払ってもらい、払えない分は加入期間としては認めるが、年金の受給額には反映させない、というやり方だ。これなら、公平感が保たれ、無年金の人を増やさないで済む。

 今回の処理方法が議論され、固まったのは長妻昭厚労相時代である。「ミスター年金」と呼ばれた長妻さんにふさわしい判断とは思えない。幸い、年金業務については、総務省に外部の有識者を集めた監視委員会が設置されている。厚労省とは別の立場から、くわしい経緯を調べ、点検して是正を促してもらいたい。今からでも遅くない。このような不公平な措置は、やめるべきだ。この問題の背景には、本人が届け出ない限り記録が変更されないという制度上の無理がある。

 さらに掘り下げれば、「保険料を払わなくても年金が受け取れる」という、3号制度が本来持つおかしさに行き当たる。 政府は社会保障と税の一体改革の議論を始めているが、3号見直しは必須だ。サラリーマン家庭の専業主婦にも、何らかの方法で保険料負担を求める改正を検討すべきだろう。

=== 引用終わり ===

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