宙に浮いた企業年金及び総背番号制

ここ数年公的年金関連の業務に携わってきました。企業年金は、国等が保険者である狭義の公的年金とは異なり、元々自分が積み立てたお金を元手に年金を支払う積立方式です。また、管理業務は信託銀行又は生命保険会社に委託するのが通常で、委託機関で厳密な管理がなされています。それにもかかわらず「宙に浮く」問題が多発かつ増加していると日経紙が報じています。制度に欠陥があるといわざるを得ないのでしょう。小生は、公的年金制度全体に散見される不備を取り敢えず補う方法として、中学又は実質義務教育化している高校教育において、税金及び年金の制度についての基礎を教えるということを主張しています。知識は力なりです。

また、日経紙は制度の不備を補う方法として、米国の社会保障番号制度を例に挙げ、共通番号制度について言及しています。今後国民総背番号制の導入が課題として議論の俎上に上せられることになるのは必至だと思われます。

=== 日本経済新聞電子版より引用 ===

企業年金、180万人分が不明、3月末3000億円
2010年12月28日 日本経済新聞 朝刊  

公的年金を補完する企業年金で、手続きの不備などで放置され、持ち主が不明な年金資産が3月末時点で約180万人分あることがわかった。資産の総額は約3000億円に上る。転職後の移管手続きや年金の受給申請をしていないことが主な理由で、手続きしないとこの分は受け取れない。税・社会保障の共通番号制度など、個人が自分の年金を一元的に知ることができる仕組みの導入が急務だ。

企業年金にはあらかじめ受け取る年金額が決まった厚生年金基金などの確定給付型と、個人の運用成績で年金額が変わる確定拠出年金がある。帰属が不明な180万人分の中で、若いうちに転職して厚年基金の受給資格を満たしていない人などの分が144万人(資産1579億円)。この資産は企業年金連合会に移っており、厚年基金に入っていた証明などを提出して手続きすれば受給できるようになる。

企業に一定期間勤めて受給資格を満たした人の資産は各厚年基金に残っている。このうち受給資格者が手続きを終えていないため持ち主が確定せず、厚年基金が支給に向けた処理を進められない資産が14万3千人(同1008億円)分ある。

2001年から始まった確定拠出年金では転職や失業などで21万7千人分(同456億円)が宙に浮いている。会社を辞めると制度から抜け、6カ月以内に手続きすれば転職先や個人の確定拠出年金の口座に移る。ただ、手続きしなければ国民年金基金連合会に移り、運用できなくなる。

帰属がはっきりしない年金資産が増えると、各年金にとっては加入者追跡などの事務コストがかかる。受給資格者の請求に時効はなく、半永久的に連絡をしなければならないため他の受給者にも影響を及ぼしかねない。終身雇用が定着してきた日本では、企業年金は定年退職後に受け取るという認識が広まっていた。ところが転職が増え、個人で手続きしないと資産が自分のものとして確定できない例が続出。住所が不明で請求書類が届かない人や、住所が把握できても請求書類を返送しない人、年金額が少なく請求しない人も多い。各企業年金とも転退職した人へ手続きするよう促しているが、問題は解消していない。横浜国立大の山口修教授は「受け取る年金額の割に手続きが煩雑」と指摘する。必要な書類が多いうえ、自分の年金資産がどこに残っているかわからないケースもある。

日本では公的年金と企業年金の記録を別々に管理しているので、宙に浮いた年金資産問題が発生してしまう。米国の年金制度は日本ほど複雑ではなく、居住者が持つ社会保障番号で自分の年金の状況を把握できる。共通番号制度を導入すれば、自分の年金資産がどこにいくらあるかを確認できるほか、煩雑な手続きも簡素化できる可能性がある。

=== 引用おわり ===

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