育児休業と育児休業給付の最終日

 早いもので、平成28年も半分が過ぎ去ろうとしています。特に、本年前半は、公私ともに様々な出来事が常に襲ってきているようなめまぐるしい半年でありました。

 さて、ふとどきといわれるかもしれませんが、男性社労士は一般的に苦手とする育児休業関係のイロハのお話です。それは、育児休業が一体いつまで取れるのかという問題です。条文によれば、原則として、養育する1歳に満たない子について育児休業を取得することができる、すなわち子が「1歳に達する日まで」です。法律上年を取るのは、誕生日の前日ということになっています。従って、7月1日が誕生日の子供を養育するために育児休業を取得している親の育児休業最終日は、原則として本日6月30日ということになります。

 ところで、育児休業を取得している間、「働かざる者、賃金なし」の原則で、無給にしている会社が一般だと思われます。しかし、これでは安心して育児に専念できないということで、雇用保険から休業開始から180日まで平均賃金の3分の2、それ以降は50%が育児休業給付として支給されることになっています。では、この給付はいつまで行われる最終日はいつになるのか。前述の育児休業期間とは微妙に異なり、「育児休業開始日から、育児休業に係る子が1歳に達する日の前日までの期間」とされています。つまり、1歳の誕生日の前々日まで、上記の事例に則して述べるとすれば、6月29日までということです。

 なんでこんなに面倒なことにしているのか、男性である浅草社労士には、到底理解不能です。おそらく、女性社労士にとっても意味不明なところではないかと想像はしているのですが...。

201606_紫陽花@上野公園

「社員をうつ病に」社労士事件の雑感

 もう20年も以前ことですが、大手証券会社の海外駐在員をやっていたときの話。米国人の中年おじさんが浅草社労士の上司でした。この人は、ドイツ系とアイルランド系の移民の血を引く白人で、労働階級からのたたき上げでしたが、比較的保守的な考え方を持っていたような氣がします。あるときその米国人上司が口にしたこんなジョークがありました。「日本では、融通の効かない官僚制度が批判されているようだが、何なら要らない官僚たちをアメリカで引き受けてあげてもいいよ。その代わり、米国人弁護士をごっそり日本に輸出させてくれるならね。」

 米国は言わずと知れた訴訟社会ですが、彼に言わせれば、紛争は多すぎる弁護士がつくり出しているのだということでした。確かに、この意見には一理あります。とはいえ、米国は異なる様々な文化的背景を持った人々が共に暮らす移民国家であり、摩擦や紛争が生じることはむしろ必然で、これらを調整しなければらならい社会的要請は、我が国をはじめとする自然発生的な国家に比べると、格段に高いということも確かなのだろうと想像できます。

 また、欧米社会を形成する背骨の一つであるキリスト教は、善悪二元論的傾向が強い感じがしていますが、これは、ゾロアスター教の二元論の考え方が入っているという説を聞いたことがあります。勧善懲悪は、クリスチャンに限らず、万人受けする考え方ではありますが、我が国の仏教のあり方や「和を以て貴しとなす」と書かれた17条憲法などを勘案すると、我が国の伝統的な思想は、善悪二元論とは離れたところにあったのではないかと考えられます。我が国で伝統的に善しとされた態度というものは、基本的には「和を以て貴しとなす」であり、元々争いのないところに敢えて紛争を持ち込まないことでした。この傾向がみられるのは、近いところだけ見ても、戦後の企業内組合、善玉と悪玉が必ずしも明確でないリアルロボットアニメの隆盛など、また、極端に悪い方に作用しているのが戦後の日本外交の一部などです。これらは、突然に現れてきたものなどではなく、民族の歴史や伝統を反映したものであったともいえるのではないでしょうか。

 そんなことを考えさせてくれたのが、昨年から社労士業界を騒がせたこの事件です。どうも、事件はいまだに収束しておらず、紛争状態が続いているようです。件の社労士先生に関しては、ちょっとやり過ぎたという印象を持たざるを得なかったのですが、徹底抗戦を続ける旨、新聞が報じていました。確かに、近年の我が国の動向と言ったら、グローバル化、英語公用語化、規制緩和、物・金・人の流れの自由化等々をもてはやし、「和を以て貴しとなす」の伝統をどんどんかなぐり捨てていきそうな勢いなので、その流れにはそった出来事なのだという見方もありなのかもしれません。

 さて、冒頭の米国人上司の問いかけに対する浅草社労士の返事ですが、もちろん、「それだけはご勘弁を(汗)」だったように記憶しています。

=== 朝日新聞 電子版 平成28年6月21日 ===

 ブログに「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題する文章を載せたとして、愛知県社会保険労務士会から会員資格停止3年間の処分を受けた県内の社労士男性が、処分の取り消しと100万円の損害賠償を求める訴えを名古屋地裁に起こしたことが20日、わかった。提訴は1日付。男性は昨秋、問題のある社員をうつ病にするとして独自の方法をブログに紹介。社労士会は「社労士の信用または品位を害する行為」だとして、昨年12月に資格停止処分と退会勧告を出した。訴状で男性側は、弁明の機会だった理事会の開催連絡が4日前と直前で、本人や弁護士が出席できなかったといい、「処分は弁明の機会が与えられないまま行われており違法」と主張している。また、ブログの内容も「必ずしも悪質とは言えず、処分は裁量権の逸脱だ」などと訴え、処分の取り消しを求めた。 社労士会は取材に対し、「会則にのっとって適切に対応しており、処分に違法な点はない」としている。

 男性は国に対し、業務停止3カ月の懲戒処分の取り消しも求めており、名古屋地裁で訴訟が続いている。(斉藤佑介)

=== 転載 終わり ===

皐月の連休に撮った写真 ↓ ↓ ↓
201604_日本丸@港未来