平成26年度の年金額減額改定

 新年度4月分から公的年金の年金額が減額改定されます(平成26年度年金額及び保険料決まる_1月31日)。4月及び5月分の年金は、実際には6月半ばに支給されることになっていますので、このときに受取る年金額が4月半ばに受取った年金額よりも原則として少なくなります。今回の場合、消費税の増税があり、また、昨年の消費者物価総合指数も上昇している中での年金額の引下げであることを勘案すれば、その理由について周知徹底する必要性が例年になく高いと思われます。

 公的年金の支給額は、本来、前年の物価や賃金の変動を反映させて決定されることになっています。ところが、現在は、「過去の物価下落時に年金減額を据え置いた結果、本来の支給額より2.5%高くなっている特例水準の解消」が昨年10月から開始されたところで、その最中にあります。つまり、物価が横ばい状態であるならば、予定では、平成25年(2013年)10月に1.0%引下げ(実施済み)、平成26年(2014年)4月に1.0%、平成27年(2015年)4月に0.5%、それぞれ引下げることになっているのです。平成25年は、消費者物価指数が横ばいではなく、0.4%上昇したので、年金支給額の引下げ幅が0.7%に縮小しました。なぜ引下げ幅が0.6%ではないのかということですが、簡単に説明すると、消費者物価指数の変動が原則ですが、名目手取り賃金の上昇が0.3%だったため、こちらの数値が優先されたということです。

 年金額の引下げは、国民年金及び厚生年金を受給する全ての受給者が対象で、本年4月分から、国民年金の場合、老齢基礎年金の満額支給の水準が772800円となります。現行支給額に比べて月額で475円減の6万4400円です。厚生年金を受け取る標準世帯を想定した合計年金額では、同1666円減の22万6925円となります。4月及び5月分の年金は、実際には6月半ばに支給されることになっていますので、このときに受取る年金額が4月半ばに受取った年金額よりも原則として少なくなります。また、新しい年金額が記載された「年金額改定通知書」(葉書状の書類)が6月上旬に日本年金機構から年金受給者に対して郵送されることになっています。

 一方、公的年金の保険料は、平成29年度まで毎年段階的に増額することが決まっています。今年度の国民年金の保険料は、現在の月額1万5040円が4月分から210円上がり、1万5250円になることが公表されています。さらに、会社員が加入する厚生年金の保険料率は毎年0.354%引上げられており、今年9月分から17.474%(労使折半)になる予定です。
平成26年4月_特例解消による年金額改定

雇用調整助成金から労働移動支援助成金へ?

1.雇用保険関係の主要助成金制度

 雇用保険関連の代表的な助成金として、雇用維持のための雇用調整助成金及び再就職支援のための労働移動支援助成金を取り上げます。まずはどのような助成金なのか、概略を見てみます。

(1)雇用調整助成金

 景気の変動、産業構造の変化などの経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合、具体的には、売上高又は生産量などの事業活動を示す指標の最近3箇月間の月当たり平均値が前年同期比10%以上の減少となっている等の場合、休業、教育訓練、又は出向によってその雇用する労働者の雇用の維持を図る事業主に対して支給される助成金です。

 支給額は、平成25年度現在、休業手当等の一部助成としてその2分の1中小企業の場合3分の2)、教育訓練の実施については、事業所内で行った場合1人1日当たり1000円(中小企業のときは1500円)、事業所外で行った場合1人1日当たり2000円(中小企業のときは3000円)、また、出向を行った場合、出向元事業主の負担額の一部助成としてその2分の1(中小企業のとき3分の2)とされています。休業手当又は賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成対象労働者1人当たりの助成金の上限は7830円です。

(3)労働移動支援助成金

 事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者等に対して、求職活動のための休暇を1日以上与え、当該休暇の日について通常賃金以上の額を支払うなどの支援をした上で、再就職を実現するための支援を民間の職業紹介事業者に委託して行う中小企業事業主に対して支給される助成金です。

 支給額は、平成25年度現在、委託費用の2分の1(対象被保険者が45歳以上の場合3分の2)、1人当たりの上限は40万円、同一の計画については上限300人までとされています。


2.雇用調整助成金から移動支援助成金へ

 さて、この雇用調整助成金ですが、2008年(平成20年)のリーマン・ショックを契機とする世界的な金融危機及びその後の不況に対処するために、助成率が5分の4まで引上げられ、翌2009年6月に支給限度日数を3年で150日から300日へ延長、過去にこの助成金の支給を受けたことがある企業であっても使用できるようにクーリング期間を撤廃するなどの制度の充実が図られ、2009年(平成21年)には、約80万事業所が6535億円程度の支給を受け、恐慌寸前の大不況時に雇用を守る制度として、その役割を果たしてきました(雇用調整助成金制度の変遷)。

 その後、政権交代、アベノミクスによる経済政策の大転換などを経て、助成率が以前の水準に戻されています。景氣が若干の上向き傾向を示していることもあるからなのでしょうが、政府は雇用調整から労働移動支援重視に舵を切ったと明らかに見て取れます。その根拠は、来る2014年度の予算で雇用調整助成金が545億円と前年度の約1175億円から半減されていること、一方、労働移動支援助成金については、予算が前年度の2億円程度から2014年度は301億円と大幅に増額されていることです。


3.最近の労働政策に関する新聞報道から

 雇用保険関連の助成金について、「雇用維持から雇用の流動化へ」という明白な方向性が見て取れると述べました。前述の労働移動支援助成金については、予算の拡大の他、次のような制度変更も予定されています。

(1)対象企業が中小企業だけでなく大企業にも拡大される。
(2)送り出し企業が民間人材ビジネスの訓練を活用した場合の助成措置が創設される。
(3)支給時期が支援委託時と再就職実現時の2段階とされる。
(4)受入れ企業の行う訓練(OJTを含む)への助成措置が創設される。

 その他にも、ある意味で一貫性が保たれているといえるかもしれない氣にかかる労働政策についての報道が相次いでいます。

(1)毎年20万人の移民受け入れ 政府が本格検討開始
 →経済財政諮問会議の専門調査会を中心に議論を進め、年内に報告書をまとめる方針だそうです。心底から馬鹿げた政策だと思います。こんな議論、「欧州各国で移民政策に成功した国は皆無、むしろ良き伝統を破壊し、社会保障制度を危機に至らしめるなど諸悪の根源となっている、以上」で終了です。

(2)官房長官、法人減税「世界との競争の中で戦う環境を整備」
 →これも経済財政諮問会議関連のようです。「菅氏は19日に首相官邸で開いた経済財政諮問会議で、2015年度から法人実効税率を引き下げるべきだと発言している。」

(3)Q&A 配偶者控除見直し
 →女性の活用といっておられますが、外国人移民同様、女性を安い労働力として「活用」しようという魂胆も透けて見えるようです。

(4)政府・自民、所得税の納税上限検討2億円案 金融・投資企業を呼び込み

201403_中小企業事業主の範囲

メンタル休職と職場復帰に関する調査結果

 今週の日経紙電子版に「うつ病などの精神疾患により休職した社員の職場復帰」に関して次のような記事が掲載されていました。

 「うつ病などメンタルヘルスの不調で会社を休職した社員の42.3%が、休職制度の利用中や職場復帰後に退職しているとの調査結果を、独立行政法人『労働政策研究・研修機構』(東京・練馬)が18日までにまとめた。休職できる期間が短く治療が十分でないことや、復職後の支援体制が不十分なことが退職の背景にあるとみられる。 

 調査は2012年11月に実施。メンタルヘルスやがん、脳疾患、糖尿病などによる病気について、休職制度の有無や期間、退職・復職の状況などを尋ねた。5904社が回答した。調査結果によると、過去3年間にメンタル不調を理由に休職制度を利用した社員の退職率は、全疾病平均の37.8%を4.5ポイント上回った。

 最も高いのはがんの42.7%だが、がんによる休職は50代以上の割合が高く、定年など病気以外の理由による退職も多数含まれているとみられる。同機構の奥田栄二主任調査員補佐は『メンタル不調は30代以下の割合が高いため、病気を直接の原因とする退職率はメンタル不調が最も高いと考えられる』としている。」

 この記事からは退職するに至った42.3%の社員の内訳が判別できませんが、出典は平成25年11月29日付けの労働政策研究・研修機構「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」で、この数字は非正規社員を含んだ数字のようです。正社員に関しては、7割の社員が少なくとも退職を免れている(「休職を経て通院治療をしながら働き続けている」、「休職を経て通院治療をせずに働き続けている」、「休職をせずに通院治療等をしながら働き続けている」、又は「長期の休職または休職、復職を繰り返している」)ようです。

 この調査は、企業における労働者の治療(私傷病も含む)のための勤務条件・制度の導入状況、相談体制等の支援状況、労働者の職場復帰状況等を把握する目的で実施されたものですが、実施時期が平成24年11月後半ということですから、実施されて1年以上も経過していることになります。調査方法は、郵送による調査票の配布及び回収により、常用労働者50人以上を雇用している全国の民間企業20000 社(農林漁業・公務除く)を対象に、産業・規模別に層化無作為抽出で行われました。有効回収数は、5904 件(有効回収率:29.5%)だったとのことです。

 主な調査結果は、以下の通りです。

1.通常の年次有給休暇以外で、連続して1箇月以上、従業員が私傷病時に利用できる休職制度がある:91.9%、そのうち、就業規則等の規定状況は、「規定されている」が77.7%、「規定されていない」は9.7%でした。

 病気休職制度の非正規社員への適用状況は、「非正規社員には適用されない」が48.5%ともっとも高く、「すべての非正規社員に適用される」が31.1%、「一部に適用されている者がいる」が14.5%でした。

2.現在(調査時点)の病気休職制度を利用した休職者人数の平均値は0.74 人。分布をみると、「0人」が63.2%と割合がもっとも高く、次いで「1人」が16.5%、「2人」が6.4%でした。

 「1人以上計」(休職者がいる企業)は28.4%。疾病別の内訳人数をみると、平均値は、「メンタルヘルス」(0.37人)が最も高く、次いで、「その他の身体疾患」(0.18人)、「がん」(0.09人)。過去3年間でみると、病気休職制度の休職者人数(新規利用人数)は、平均値が2.88 人であり、休職者1人以上の割合は52.0%でした。

3.継続就業のパターンでは、正社員の場合、「休職期間中(もしくは復職直後)に退職している」、「休職を経て復職後、しばらく勤務した後に退職している」、「休職をせずに退職している」の合計の割合は、「メンタルヘルス」が27.0%でもっとも高くなりました。「休職をせずに退職している」割合は「難病」が最も高く、次いで「脳血管疾患」、「B型肝炎もしくはC型肝炎」などとなっています。一方、非正規社員の場合、「休職期間中(もしくは復職直後)に退職している」、「休職を経て復職後、しばらく勤務した後に退職している」、「休職をせずに退職している」の合計の割合は、やはり「メンタルヘルス」が46.0%で非常に高くなっています。正社員と非正規社員を比較すると、「休職をせずに退職している」割合は、いずれの疾病でも正社員に比べ非正社員のほうが高くなっています。

4.今後3年間程度でみた疾病への対策を経営・労務管理上の重要課題と考えるかについては、「重要」(「最重要課題」、「どちらかといえば重要課題」の合計)とする割合が「メンタルヘルス」で72.2%と最も高くなっており、次いで「糖尿病・高血圧等の生活習慣病」、「がん」、「心疾患」などとなっています。

 メンタルヘルスや私傷病の治療と仕事を両立させるための課題でもっとも多かったのは、「休職者の復帰後の仕事の与え方、配置」で55.6%、次いで、「代替要員の確保が困難」、「再発防止」、「休業期間中の給与の保障が困難」などでした。

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東芝vs韓国ハイニックス機密漏えい事件

1.東芝vs韓国ハイニックス機密漏えい事件

 何とも情けない事件が報じられておりました。13日の日経電子版その他によれば、「東芝の半導体メモリーに関する研究データが韓国企業に漏れていた問題で、警視庁捜査2課は13日、東芝の業務提携先である半導体メーカー『サンディスク』の元技術者、杉田吉隆容疑者(52)=北九州市=を不正競争防止法違反(営業秘密侵害)容疑で逮捕した。杉田容疑者は、サンディスクの技術者として東芝の四日市工場に勤務していた2008年ごろ、東芝の営業秘密であるNAND型フラッシュメモリーの研究データを記録媒体にコピーして持ち出し、韓国半導体大手ハイニックス半導体(現・SKハイニックス)に提供した疑いが持たれている。」とのことです。なお、この事件に関連して東芝側は、「フラッシュメモリーの技術に関する機密情報を不正に取得・使用しているとして、韓国SKハイニックス社に対し、不正競争防止法に基づき損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。」と発表しています。

 1980年代世界を席巻した日の丸家電や半導体の時代からは隔世の感に堪えませんが、ここ数年の我が国電氣産業の凋落を象徴するような事件です。技術立国を標榜する我が国の根幹部分を揺るがしかねない問題を含んでいるように思えてなりません。結局、自分のためになるかだけを極端に強調し、「公共心」を軽視する教育で育った人材ばかりでは、技術立国を維持していくことなど夢のまた夢といわざるを得ないということなのでしょう。

 労働者の「守秘義務」及び「競業避止義務」については、東京都社労士会の発行する「会報」3月号でも採り上げられておりました。好い機会なので記事にある主要論点を以下にまとめておきたいと思います。


2.退職後の守秘義務

 「守秘義務」とは、使用者の営業上の秘密やノウハウなどをその承諾なしに使用又は開示してはならない義務のことをいいます。在職中の守秘義務については、労働者は、労働契約に付随する義務の一つとして、当然に守秘義務を負っていると解されています。労働契約法3条4項は信義則について定めた規定で、「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。」と謳っています。労働者は、信義則に基づく誠実義務の一内容として、在職中当然に守秘義務を負うという訳です。それでは、守秘義務の内容を就業規則等に明記することの意味は何かということですが、これは、本来労働者が負っている労働契約上の義務を労働者に改めて周知し、注意喚起して労働者の自覚を促しているというほどの意味合いです。

 しかし、労働契約が終了した後の退職後の守秘義務については、在職中のように労働契約に付随する義務の一つと単純に言い切ることができなくなります。労働契約上の義務は契約終了とともに消滅するのが原則であると考えるのが自然ですから、何らかの契約上の根拠なしに、守秘義務だけが退職後も当然に存続するというのは、労働者の保護に欠けると反論されるでしょう。従って、退職後の守秘義務は、労働契約上の明確な根拠、すなわち、就業規則上の定めや入社時又は退職時に提出する誓約書のような特約等があって始めて発生すると考えられています。

 一方、「不正競争防止法」では、労働契約の存続中及び終了後を通じて、労働者が使用者から取得し又は開示された営業秘密について、不正の利益を得る等の目的で使用又は開示することを処罰する規定が置かれています。従って、労働者は、退職後も「不正競争防止法」上の守秘義務を特約等の有無に係らず負っていると考えられます。ただし、同法は処罰規定を伴うものだけに、「営業秘密」の定義ついて「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」というように、(1)秘密管理性、(2)有用性、(3)非公知性の3要件を掲げ、これらの要件全てを満たさなければ同法の保護の対象には当たらないとして厳密に解釈され、制限的な運用が行われています。


3.退職後の競業避止義務

 競業避止義務とは、使用者と競業する企業への就職や使用者と競業する事業を自ら営むことを行わない義務をいいます。在職中の競業避止義務については、労働者は、労働契約に付随する義務の一つとして、信義則上、当然にこれを負っていると解されている点は守秘義務と同様です。また、競業避止義務の内容を就業規則等に明記することの意味は何かということですが、これも、本来労働者が負っている労働契約上の義務を労働者に改めて周知し、注意喚起して労働者の自覚を促しているという点、守秘義務と全く同様です。

 しかし、労働契約が終了した後の退職後の競業避止義務については、在職中とは異なり、何らかの契約上の根拠なしに、競業避止義務だけが退職後も当然に存続するというのは、職業選択の自由を保障した憲法22条1項に抵触する重大な労働者の権利の制限ということになるでしょう。従って、退職後の競業避止義務については、限定的な解釈及び運用が課されるべきです。

 具体的には、フォセコ・ジャパン・リミテッド事件(奈良地裁昭和45年)判決にあるように、退職後の競業避止義務は、合理的範囲にとどめられるべきものであり、合理的範囲の確定は、(1)制限の期間、(2)場所的範囲、(3)制限の対象となる職種の範囲、(4)代償の有無等について、(A)元の使用者の利益、(B)労働者の不利益、(C)社会的利害の3つの視点を踏まえて総合的に判断を下すことになります。

 なお、(1)制限の期間については、概ね1年から長くても3年が限度で、5年以上の長期は非現実的です。(2)場所的範囲については、全国展開するFCのような場合、全国であっても過度に制限的とは言えないなど、元の使用者の業務の種類、業容等によって事例ごとの判断がなされるようです。

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平成26年4月からの年金制度改正点等

 消費税増税の実施がいよいよ来月に迫って来ました。「税と社会保障の一体改革」の名の下に進められてきた比較的大きな年金制度改革も徐々に実施されていきます(年金機能強化法と消費税引上げとの関係_2013年9月12日)。そこで、今後どのような改正が実施されようとしているのか、再度概観しておきたいと思います。


1.平成26年4月からの主な改正点

 今回の年金制度改正の根拠法となっているのは、(1)年金機能強化法、(2)被用者年金一元化法、(3)国民年金法一部改正法、及び(4)年金生活者支援給付金法です。

 まず(1)年金機能強化法によるものですが、①産休中の保険料免除があります。これは、育児休業中の保険料免除と同様であり、標準報酬月額改定に関する特例も含まれています。また、②父子家庭へ遺族基礎年金が支給されるようになります。亡くなった妻が夫の被扶養者で第3号被保険者であったとしても、遺族基礎年金は一律に支給されます。

 次に、(3)国民年金法一部改正法に基づく年金額特例水準の引下げも予定通り実施されます。少々難解な計算式に基づき、0.7%の引下げ幅になっています(平成26年度年金額及び保険料決まる_1月31日)。4月及び5月分の年金が実際に支給されるのは、6月13日です。このときに消費税が引上げられ、物価も上昇気味なのになぜ年金支給額だけが引下げられるのかとの混乱が生じないように、社労士を含む関係者による周知徹底の努力が望まれます。

 この他、注意すべき改正点として、以下に掲げる事項があります。

 ①未支給年金を受取れる遺族の範囲が亡くなった受給者と生計同一の3親等内の親族となり、これには子の配偶者、孫の配偶者、兄弟姉妹の配偶者、甥姪、伯父(叔父)及び伯母(叔母)等、かなり広範に含まれることになります。

 ②年金受給の繰下げについて、5年を経過して70歳を相当期間過ぎてから繰下げの請求をした場合であっても、5年を経過した日の属する月の翌月に遡って増額された年金額が支給されることになります。4月前までは、請求した月の翌月からしか支給されることはありませんでした。

 ③障害年金受給権者の障害の程度が増進した場合、その前の障害状態の確認から1年の待機期間を経た後でなければ年金額の改定請求ができなかったのですが、省令に定められた障害の程度が増進したことが明らかである場合には、1年を待たずに請求することができるようになります。

 ④国民年金の任意加入被保険者が保険料を納付しなかった期間についても、未納期間ではあるが、例外的に合算対象期間として受給資格期間に算入できることとします。


2.平成27年10月からの主な改正点

 (1)年金機能強化法によるものとして、老齢年金の受給資格期間の短縮が挙げられます。これまで25年とされた受給資格期間が10年に短縮される重要な改正になります。

 (2)被用者年金の一元化が、共済年金の厚生年金保険制度への統合という形で実施されます。

 (3)年金生活者支援給付金制度が創設され、所得税が一定基準を下回る年金受給者に給付金が支給されることになります。

 ただし、(1)及び(2)については、同時に実施される予定の消費税再引上げが前提条件になっており、今後の経済情勢次第で消費税増税が見送られた場合、施行が延期されることも予想しておくのが良いでしょう。


3.平成28年10月からの主な改正点

 (1)年金機能強化法による改正点の目玉の一つとして、パートタイマーへの厚生年金の適用拡大が図られています。現行の労働時間及び労働日数4分の3以上基準(短時間労働者への労働保険及び社会保険の適用_2010年6月3日)を見直し、新たに次のような要件を満たした者は必ず被保険者として厚生年金保険に加入させなければならないものとして、厚生年金保険の被保険者の裾野を拡げようとする目論見です。ただし、学生アルバイトは要件を満たしていたとしても除外できます。

 ①所定労働時間1週間当たり20時間以上
 ②1年以上継続して使用される見込みがあること
 ③報酬月額88000円以上
 ④従業員数501人以上の企業(当面の経過措置)

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