年金の併給について(遺族年金1)

1.遺族年金の併給の基本知識

 老齢年金のところでも述べたとおり、大原則は、「支給事由の異なる2以上の年金は、いずれか1つを選択しなければならない。」ということです。そこで、65歳以降の例外として、遺族基礎年金及び遺族厚生年金を受給している方が、自身の老齢基礎年金の受給資格を取得した場合、老齢基礎年金及び遺族厚生年金の組合せが例外的に選択可能となります。しかし、老齢基礎年金は満額で786500円(平成25年度、以下同様)ですが、遺族基礎年金は子のある妻の場合1012800円です。その上、遺族年金は年金給付の原則通り非課税ですから、受給資格のある方にとってどちらを選ぶかは自明です。ただし、65歳で老齢基礎年金の受給資格があって18歳未満の子がある妻というのは、ごく稀な事例と考えられますので、結果的に、老齢基礎年金及び遺族厚生年金の組合せに落ち着くのではないかと思料します。

 続いて、上記の65歳以降の例で、老齢基礎年金及び「老齢厚生年金」の受給資格を有する場合です。年金の併給について(老齢年金)_7月25日で、次のように解説しました。

「老齢基礎年金又は老齢厚生年金を支給されている受給権者が新たに遺族厚生年金の受給資格を取得する場合は、頻繁に起こりうる事例です。この場合、老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給となります。しかし、ここに自身の老齢厚生年金が絡んでくると話が複雑化します。この場合、まず自身の老齢厚生年金を満額受給することになります。そして、遺族厚生年金>老齢厚生年金のとき、遺族厚生年金が老齢厚生年金を上回る部分についてだけ遺族厚生年金が上乗せされて支給されます。この仕組みは、平成19年4月1日以降発生した遺族厚生年金の受給権者について適用される仕組みで、平成19年3月31日以前に65歳以上に達しており(昭和17年4月1日以前生まれ)、既に遺族厚生年金の受給権が発生している配偶者については、遺族厚生年金>老齢厚生年金のとき、非課税で有利な遺族厚生年金のみを選択することが可能でした。」

 遺族厚生年金の発生が65歳到達前であっても、65歳以降の発生であっても、65歳以降の老齢厚生年金との併給調整の理屈は同じですが、上記の説明では舌足らずでわかりにくかったところを敷衍して解説します。

 2階部分の年金の額が、「平成19年3月31日以前に65歳以上に達しており(昭和17年4月1日以前生まれ)、既に遺族厚生年金の受給権が発生している配偶者」ではない場合に、まず自身の老齢厚生年金を満額受給することになり、B遺族厚生年金>A老齢厚生年金のときには、遺族厚生年金が老齢厚生年金を上回る部分についてだけ遺族厚生年金が上乗せされて支給されるわけです。このとき注意しなければならない点は、B遺族厚生年金の額として使われる金額について、遺族厚生年金の年金額そのものと「遺族厚生年金の年金額そのもの×2/3+自身の老齢厚生年金×1/2」を比較して多い方の金額を使用することができることです。

 言い換えると、2階部分は、

 自身の老齢厚生年金額+{(配偶者の老齢厚生年金報酬比例部分×3/4)-自身の老齢厚生年金額}

 又は

 自身の老齢厚生年金額+{(配偶者の老齢厚生年金報酬比例部分+自身の老齢厚生年金額)×1/2-自身の老齢厚生年金額}

からの選択となります。もちろん、{ }の中身が零より少ない金額になれば、自身の老齢厚生年金だけの金額が年金額です。


2.遺族年金と障害年金の併給

 65歳以降、障害基礎年金及び遺族厚生年金の併給が可能になります。従って、障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が遺族厚生年金の受給権を取得した場合(遺族基礎年金の受給資格があるのは稀な事例と思われます。)、障害基礎年金及び障害厚生年金又は障害基礎年金及び遺族厚生年金のいずれかの併給を選択できます。

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年金の併給について(老齢年金)

1.年金併給に関する大原則

 年金の併給問題について、数回に分けて解説します。今回は、老齢年金の受給権者が支給事由の異なる他の年金の受給権を取得した場合について考えます。

 まず、大原則を押さえておきたいと思います。「支給事由の異なる2以上の年金は、いずれか1つを選択しなければならない。」ことになっています。この大原則は、60歳以前に「障害基礎年金又は障害厚生年金」を受けてきた受給権者が60歳になって特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになったときにも生きていて、65歳までは併給は認められず、どちらか1つを選択することになっています。


2.年金併給に関する例外

 原則に対して、例外が存在するのが一般的です。例外の1、というよりもこれは大原則から必然的に導き出せる結論ですが、老齢基礎年金と老齢厚生年金(退職共済年金)、障害基礎年金と障害厚生年金(障害共済年金)、及び遺族基礎年金と遺族厚生年金(遺族共済年金)のように同じ事由で支給される1階部分と2階部分の年金は、併せて1つの年金とみなされ、当然のように併給となります。

 次に、例外の2です。ここからは、65歳以上の年金支給を念頭に話を進めます。老齢基礎年金又は老齢厚生年金を支給されている受給権者が新たに遺族厚生年金の受給資格を取得する場合は、頻繁に起こりうる事例です。この場合、老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給となります。しかし、ここに自身の老齢厚生年金が絡んでくると話が複雑化します。この場合、まず自身の老齢厚生年金を満額受給することになります。そして、遺族厚生年金>老齢厚生年金のとき、遺族厚生年金が老齢厚生年金を上回る部分についてだけ遺族厚生年金が上乗せされて支給されます。この仕組みは、平成19年4月1日以降発生した遺族厚生年金の受給権者について適用される仕組みで、平成19年3月31日以前に65歳以上に達しており(昭和17年4月1日以前生まれ)、既に遺族厚生年金の受給権が発生している配偶者については、遺族厚生年金>老齢厚生年金のとき、非課税で有利な遺族厚生年金のみを選択することが可能でした。

 ここで注意すべきは、老齢基礎年金を繰上げて受給している受給権者です。遺族厚生年金等との組み合わせでは、60歳到達前から遺族年金を受給している場合と60歳到達後遺族年金の受給資格が生じる場合の2つが考えられます。上記の併給はあくまでも65歳以上の話ですので、いずれの場合も65歳に到達するまでは、遺族年金が停止されることになります。

 例外の3は、老齢基礎年金又は老齢厚生年金の受給権者が障害基礎年金又は障害厚生年金の受給資格を取得する場合です(どちらかといえば、障害年金の受給資格の方が先行する場合が多いと思われます。)。この場合も、65歳以上ならば、老齢基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と障害厚生年金、又は障害基礎年金と老齢厚生年金の併給選択が可能です。年金額が同じならば、非課税の障害年金の方が有利ですので、1階部分には障害年金を持ってくるのが通常考えられる選択でしょう。

 例外の4は、昭和61年改正前の旧厚生年金保険の遺族年金が支給されている受給権者が新たに老齢基礎年金又は老齢厚生年金の受給資格を取得する場合です。この場合も、65歳以降は老齢基礎年金と旧厚年の遺族年金は併給になります。また、旧厚生の遺族年金>老齢厚生年金のとき、非課税で有利な遺族年金を選択することが可能です。従って、その場合には老齢基礎年金と旧厚年の遺族年金の組合せになります。また、課税まで考慮して旧厚生の遺族年金<老齢厚生年金の場合には、老齢基礎年金及び老齢厚生年金の組合せになります。

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同居の親族と労働者性

 同居の親族とは、事業主と生計を一にする民法上の親族、すなわち、6新等内の血族、配偶者、及び3親等内の姻族を指します。労働基準法は、雑則を定めた第12章の第116条2項で「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。」と謳っています。ところで、この同居の親族の労働者性について、法律により、その扱いが微妙に異なる場合があるように感じます。改めて基本を整理しておきたいと思います。


1.労働基準法と同居の親族

 労働基準法は、前述のとおり「同居の親族のみを使用する事業」には適用されないと謳い、原則として適用労働者(事業に使用され、賃金を支払われる者)に含めていないのです。ただし、条文によれば、事業については、同居の親族のみを使用していることが要件になっています。従って、同居の親族の他に1人でも他人を使用していれば、その事業所は労基法が適用されることになります。その上で、同居の親族は、労働者性が否定され、他の1人だけが労基法上の労働者ということになるのが原則です。

 ところが、当該同居の親族が、他の1人の労働者と同様に一般事務又は現場作業に従事し、事業主の指揮命令の下にあり、就業の実態が他の1人の労働者と変わらない場合には、例外的に労基法適用の労働者となります。


2.労働保険と同居の親族

 基本的に労働保険は、労基法に準じて考えていけばよいと思われます。まず、労災保険については、労基法と同様で、原則適用除外ですが、例外的に適用労働者となります。具体的には次のような基準で判断します。

(1)業務を行うにつき、事業主の指揮命令下にあることが明確なこと
(2)就労の実態が、当該事業所における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等、また賃金の決定、計算及び支払い方法、賃金の締切り及び支払いの時期等について就業規則その他で定められ、他の労働者と同様に管理されていること。

 次に、雇用保険ですが、原則として被保険者にはなりません。例外的に適用労働者となるためには、次のような要件を満たし、その上で公共職業安定所に適用の実態が確認できる書類を提出しなければなりません。

(1)業務を行うにつき、事業主の指揮命令下にあることが明確なこと
(2)就労の実態が、当該事業所における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等、また賃金の決定、計算及び支払い方法、賃金の締切り及び支払いの時期等について就業規則その他で定められ、他の労働者と同様に管理されていること。
(3)事業主と利益を一にする地位(役員等)にないこと

 ここで、注意しなければならない点は、いかに実態が上記のような要件に合致していたとしても、他に1人の労働者も雇用していない事業では、労働者性を認めることはできず、従って、労働保険の適用は端から考えられないということです。


3.労働契約法と同居の親族

 さて、そこで労働契約法はどうなっているかというと、第22条2項で「使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない」と謳っています。

 同条1項は、そもそも労働契約が成立していない公務員への適用除外を謳っている確認規定に過ぎないので、この法律が実質的に適用されないのは、「使用者が同居の親族のみを使用する場合」だけということです。このことは、また、労基法が同居の親族と並んで適用除外としている「家事使用人」についても、使用従属の関係と報酬の労務対償性から判定して、労働契約法2条に該当する者であれば、労働契約法は適用されるということを意味します。


4.社会保険と同居の親族

 労働保険とは異なり、あまり問題になってくることはないと思われます。まず、法人事業所の場合ですが、社長1人だけの株式会社であっても、その社長は、法人から雇われているとみなされて、社会保険の被保険者になるのが社会保険の論理です。同居の親族であっても、賃金等報酬を受取って働いている限り、被保険者になりえます。

 次に、個人事業の場合ですが、従業員5人以上の事業所には社会保険が適用され、従業員5人未満の個人事業には適用されないのが原則です。この点を押さえた上で、社会保険が適用される個人事業において、事業主本人はあくまでも使用者であって、被用者ではありえません。しかし、同居の親族は被用者たりえますので、被保険者になると考えられます。

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第3号被保険者記録不整合問題決着へ

 「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が6月19日、参院本会議で自民、民主両党などの賛成多数で可決、成立したことは、以前の記事で紹介しました(厚年基金問題及び第3号記録不整合問題への対処法案成立_6月20日)。第3号被保険者の記録不整合の問題は、一昨年の年初あたりから大手新聞でも採り上げられ、社会問題となったことは(国民年金第3号被保険者の未納問題_2011年2月7日)、いまだ記憶に新しいことと思います。今回成立した改正国民年金法は、この問題に対処していることが最も重要な改正点の一つになっています。今月から動き出している改正法に基づいた記録整備作業について、どのような考え方を採っているのか要点を以下にまとめてみました。


1.公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されるもの

(1)第3号被保険者であった者からの届出

 第3号被保険者であった者は、第2号被保険者の被扶養配偶者でなくなったことについて、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならないものとすること(第12条の2第1項関係)。


2.平成25年7月1日から施行されるもの

(2)共済組合等又は健康保険組合に対する資料の提供請求

 厚生労働大臣は、共済組合等又は健康保険組合に対し、国家公務員共済組合法等の短期給付に関する規定の適用を受ける組合員等又は健康保険組合の被保険者の氏名及び住所その他の事項につき、必要な資料の提供等を求めることができるものとすること(第108条第1項関係)。

⇒これまでは協会けんぽ以外の健康保険については、被扶養配偶者の情報が取れていなかったということです。

(3)共済組合等からの情報の提供

 共済組合等は、厚生労働大臣に対し、その組合員又は加入者が第2号被保険者でなくなったことに関して必要な情報の提供を行うものとすること(第108条の2の2関係)。

(4)第3号被保険者としての被保険者期間の特例

 「不整合期間」を有する者は、厚生労働大臣に対し、その不整合期間のうち当該訂正がなされたときにおいて保険料を徴収する権利が時効により消滅している期間(以下「時効消滅不整合期間」という。)について届出を行うことができるものとすること。
⇒「不整合期間」の定義:昭和61年4月から平成25年6月までの間にある第3号被保険者期間のうち、第1号被保険者期間として記録の訂正がなされた期間

 この場合において、届出の日以後、当該届出に係る時効消滅不整合期間(以下「特定期間」という。)を老齢基礎年金等の受給資格期間に算入できる期間とみなすものとすること(附則第9条の4の2関係)(註)。

⇒時効のため本来ならば未納となる不整合期間の合算対象期間化といえます。

(5)特定保険料の納付

 特定期間を有する者は、平成27年4月1日から平成30年3月31日までの間において、厚生労働大臣の承認を受け、当該特定期間のうち、50歳以上60歳未満の期間(60歳未満の者である場合には、承認の日の属する月前10年以内の期間)について、特定保険料(各月の保険料に相当する額に政令で定める額を加算した額のうち最も高い額(承認の日の属する月前10年以内の期間にあっては、当該加算した額)をいう。以下同じ。)の納付を可能とするものとすること(附則第9条の4の3関係)。

⇒さらに50歳から60歳の10年に限り、後納類似の救済的納付を可能にしています。

(6)特定受給者の老齢基礎年金等の特例

 平成25年7月1日において時効消滅不整合期間となった期間が第3号被保険者期間であるものとして老齢基礎年金等を受給している者(以下「特定受給者」という。)については、平成30年3月までの間、当該時効消滅不整合期間を保険料納付済期間とみなすものとすること(附則第9条の4の4関係)。

⇒年金受給者の処遇については、減額、遡及的減額も検討の俎上に上せられたはずですが、年金受給者に甘い結論になりました。

(7)平成30年4月以後の特定受給者の老齢基礎年金の額

 特定受給者に支給する平成30年4月以後の月分の老齢基礎年金の額については、訂正後年金額(国民年金法第27条の規定等に基づき計算される老齢基礎年金の額をいう。)が減額下限額(不整合期間を保険料納付済期間とみなして国民年金法第27条の規定等に基づき計算される老齢基礎年金の額の100分の90に相当する額をいう。)に満たないときは、減額下限額とするものとすること(附則第9条の4の5関係)。

(8)不整合期間を有する者の障害基礎年金等に係る特例

 平成25年7月1日において不整合期間であった期間が第3号被保険者期間であるものとして障害基礎年金又は遺族基礎年金等を受給している者について、当該不整合期間を保険料納付済期間とみなすものとすること(附則第9条の4の6関係)。

(註)国民年金法附則第9条の4の2第1項の規定による時効消滅不整合期間についての届出は、氏名、性別、生年月日、住所、基礎年金番号、時効消滅不整合期間等を記載した届書に、国民年金手帳等を添えて、日本年金機構に提出することにより行う。

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個人事業主は被用者年金に入れない論拠

 社長(法的には代表取締役といった方が適切か?)を始めとする取締役などの事業主と労働保険及び社会保険との関係は、なかなか微妙なものといえます。そこで、知識の整理のために簡単にまとめておきたいと思います。


1.労働保険

 まず、労災ですが、「代表権・業務執行権を有する役員は、被保険者にはならない」ことになっています。業務執行権とは、株主総会及び取締役会の決議を実行し、日常的な取締役会の委任事項を決定し、執行する権限、すなわち代表者が行う対外的代表行為を除く会社の諸行為のほとんど全てを行う権限のことです。こんなわけですから、中小事業主であって、徴収法の規定による「労働保険事務組合」に労働保険事務処理を委託している事業の事業主とその家族従業者を対象とした特別加入制度が存在します。

 また、法人の取締役、理事又は無限責任社員等の地位にある者であっても、法令・定款等の規定に基づいて業務執行権を有すると認められる者以外の者で、事実上業務執行権を有する取締役、理事又は代表社員等の指揮監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を得ている者は、原則として「労働者」として労災の被保険者になります。加えて、監査役及び監事は、法令上使用人を兼ねることはできないとされていますが、事実上一般の労働者と同様に賃金を得て労働に従事している場合には「労働者」として被保険者になりえます。

 次に、雇用保険です。雇用保険では、株式会社の取締役は、原則として被保険者にはなりません。もちろん、代表取締役は、例外なく被保険者にはなりませんし、監査役も原則として被保険者にはなりません。ただし、取締役であって、同時に部長、支店長、工場長等の従業員としての身分を有する者は、服務態様、賃金、報酬等の面から見て労働者的性質の強いものであって、雇用関係があると認められる者に限り、被保険者となります。このような場合には、公共職業安定所への雇用の実態が確認できる書類等の提出が求められます。

 労働保険の場合、法人の取締役、理事又は無限責任社員等の地位にある者であっても、労働保険の加入が認められる者とは、実質的に労働者的性質の強いものであって、雇用関係があると認められる者です。雇用関係の実質を見て、労働者的性質の強いから、被保険者と認められるのです。このことの帰結として、労働保険料の対象になる報酬から「役員報酬」は除かれ、労働者としての賃金部分だけが労働保険料の対象になることも説明がつきます。


2.社会保険

 社会保険では、指揮命令関係という雇用の実態を見る労働保険とは少し違った考え方を採ります。まず、法人事業所の役員は、代表取締役、取締役、監査役、理事又は監事等が常態としてその法人に勤務していれば、法人からその勤務の対償として報酬を受けていると擬制することができます。したがって、法人のために、その指揮命令下労働してその対償を受け取る被用者とみなすことができるので、須らく被保険者となるのです。つまり、社長1人だけの株式会社であっても、その社長は、法人から雇われているとみなされて、社会保険の被保険者になることが可能なのです。

 ところが、個人事業主となるとこの擬制ができません。個人事業主はあくまでも使用者であって、被用者ではありえません。したがって、個人事業主が厚生年金又は協会けんぽの被保険者になることはできないのです。

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