JTB系社員の自殺事件が労災認定

 旅行会社大手JTBのグループ会社の課長だった男性(当時40歳)が2011年3月に自殺したのは長時間労働が原因だったとして、昨年10月12日付で労災認定がなされていたことを遺族側の弁護士が公表しました。男性は2011年2月にニュージーランド南島のクライストチャーチ市で発生した地震の影響による担当していた高校の旅行予定変更など緊急対応に従事し、亡くなる直前1箇月の時間外労働は251時間の残業をこなしていたと伝えられています(JTB系社員の自殺、新宿労基署が労災認定 )。

 これは、労働安全規則第53条の2で、「事業者は、医師による面接指導を実施しなければならない」とされ、医師による面接指導の義務を事業者に課している1月当たり100時間を優に超え、また、厚生労働省がうつ病などの精神障害で労災を適用する際の判断基準として公表している「心理的負荷による精神障害の認定基準」(平成23年12月26日)において、それだけで心理的負荷の総合評価が「強」になる発病直前の1箇月間に約160時間以上又は発病直前の3週間に約120時間以上の時間外労働もはるかに上回る文字通りとんでもない時間外労働ということになります。

 時間外労働時間制限のまとめ


全国消費者物価指数と年金

 今週は、平成24年(2012年)の全国消費者物価指数が総務省から発表されました。総合指数で横ばい、生鮮食料品を除く指数では前年比0.1%の下落となり、4年連続で下落となりました。さらに、食料品及びエネルギーを除いた数字で見ていくと、0.6%の下落となります。年金額の見直しに使われるのは総合指数なので、25年度の年金額は、「過去の物価下落時に年金減額を据え置いた結果、本来の支給額より2.5%高くなっている特例水準の解消」のための措置が開始される10月までは据え置きとなりそうです。

 国民年金保険料は、平成29年度まで毎年280円ずつ引上げられた基準額に名目賃金の変動割合をもとに導き出される保険料改定率を乗じて計算することになっています。現行の平成24年度基準額は15540円でしたが、改定率が0.964であったため、実際の保険料は14980円でした。平成25年度の基準額は15820円ですが、今年度同様改定率によって調整されることになります。なお、厚生年金保険の保険料率については、本年9月にかかる給与より17.12%が課されることになっています。

 ところで、我が国の消費者物価指数の推移を見ていくと、総合指数、生鮮食料品を除く指数、食料品及びエネルギーを除く指数のどれを採って見ても、現在の消費者物価が20年前の水準とほぼ同じであることがわかります。正確には、食料品及びエネルギーを除く消費者物価は2%下がっています。かく乱要因を取り除いた後のコアコアCPIで20年間に2%の下落というのは、明らかにデフレを示す数字といえるでしょう。それにもかかわらず、年金保険料は確実に引上げられてきていることが下表から読み取れます。

全国消費者物価指数と保険料

政府・日銀の政策連携に関する共同声明

 自民党安倍政権が仕事始めとして目指していた政府・日銀の政策連携に関する共同声明が、遂に公表されました。正式名称は、「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」と称されるようです。物価上昇率目標(インタゲ)2%は明確に書き込まれたものの、経済の「構造改革」という言い回しの多用が少々耳障りな印象をぬぐえません。「できるだけ早期に実現することを目指す。」という表現も曖昧といえば曖昧です。それでも、次なる矢は4月の日銀総裁人事に向け放たれることになるのでしょう。

「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」

平成24年度補正予算案は13兆円規模

 今月11日、政府は日本経済再生に向けた緊急経済対策を閣議決定しています。この緊急経済対策によれば、国の財政支出は約10兆3千億円で、民間や地方負担を含めた事業規模は約20兆2千億円とされ、実質国内総生産(GDP)を2%程度押し上げ、約60万人の雇用創出効果が見込まれています。

 緊急経済対策が柱となる平成24年度補正予算案の総額は約13兆1千億円で、リーマン・ショック後に編成された平成21年度補正予算(約14兆円)に匹敵。大規模な財政出動で景気の底割れを防ぎ、デフレ脱却につなげることを目論むものです。

 対策は即効性のある公共事業を拡大して景気のカンフル剤にするとともに、民間投資や消費を喚起し、成長力の強化につながる施策が盛り込まれたとされています。

 老朽化した公共インフラの点検・補修など「復興・防災対策」として約3兆8千億円を計上し、このうち約1兆6千億円を東日本大震災の復興費にするとしています。

 再生医療の実用化支援など「成長による富の創出」は約3兆1千億円。通学路の安全対策など「暮らしの安心・地域活性化」に約3兆1千億円をあて、公共事業を行う際の地方自治体の負担を減らす交付金として約1兆4千億円が盛り込まれています。

 さらに、今回の緊急経済対策では、財政政策と同時に金融政策についても次のように謳っており、金融面にも十分に配慮が行き届いていることを示しています。

「デフレからの早期脱却に向けて、政府と日本銀行の連携を強化する仕組みを構築する。その際、明確な物価目標の下で、日本銀行が積極的な金融緩和を行っていくことを強く期待する。こうした取組に加え、為替市場の動向については、引き続き注視し適切に対応する。」

 60万人の雇用創出 GDP2%押し上げへ
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学生の就活失敗と自殺

 長引く不況の影響で、新卒の就職氷河期が常態化しておりますが、内実を示す数字が7日の毎日新聞記事で紹介されていました。「文部科学・厚生労働両省の調べでは、昨春卒業した大学生の就職率は93.6%(前年度比2.6ポイント増)。また、今春卒業予定の大学生の昨年10月時点の就職内定率は63.1%(同3.2ポイント増)で、回復傾向は見られるが、依然厳しい状況」なのだそうです。90%を超える数字だけを見ると、若年者の失業率が50%を超えるといわれるギリシャ、スペインなどに比べれば、これで本当に厳しい状況なんですかという感じもしないではないのですが...。
 ギリシャの失業率:10月は26.8%、過去最悪-景気低迷続く

 「警察庁によると、11年の10~20代の自殺者は3926人で前年より134人増えた。『就職失敗』が原因とされたのは、07年の60人から11年の150人と2.5倍に。大学生など学生は同16人から同52人と増えている。」と確かに就活失敗によると見られる自殺は、リーマン・ショックを経て増加傾向にあることが見て取れます。

 就活生:「失敗で自殺」4年で増加 NPOが悩み分析へ

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