改正高齢者雇用安定法_65歳まで雇用義務付け

 60歳を超えた社員のうち、希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入などを企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法が8月29日の参院本会議で民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立しました。同改正法は2013年4月に施行されます。


1.現 状

 厚生年金の受給資格年齢は、昭和28年4月2日生まれが60歳を迎える平成25年4月2日から1年ずつ徐々に引上げられ、昭和36年4月2日生まれが60歳を迎える平成33年4月2日で、受給資格年齢を65歳まで引上げる経過措置が完成します。言い換えると、来年4月から、60歳を迎えても厚生年金が支給されない空白期間が発生し、徐々に長期化する現象が始まります。

 従って、徐々に拡がる無年金期間を埋めるために、国は企業に対して65歳までの雇用延長を義務付ける高年齢者雇用安定法を整備強化することが必須だったのです。しかし、この法律の平成16年改正法は、労使協定で基準を設ければ、その基準に従って継続雇用の対象となる者を絞り込むことが認められていました。また、16年改正法施行後3年間(中小企業5年間)は、労使協定の協議が調わない場合に限り、就業規則で基準を設けることも認められてきました。

 ところで、この雇用安定措置ですが、(1)定年年齢の引上げ、(2)継続雇用制度(勤務延長制度及び再雇用制度)、又は(3)定年制度の廃止の3つの方法から選択することが認められています。このうち、(1)及び(3)は人件費の面から大企業や余程の高収益企業でなければ現実的ではありません。(2)のうち勤務延長制度とは、定年年齢に到達した者を退職させることなく、引き続き雇用する制度です。定年到達時に退職金を支払うことがなく、労働条件も変更しにくいことから、(1)に近い制度といえます。一方再雇用制度は、定年年齢に到達した者を一旦退職させた上で、新たな労働条件で再雇用する制度です。
20120830_改正高年齢者雇用安定法


2.今回の改正法の要点

 今回の改正で、労使協定で基準を設ければ、その基準に従って継続雇用の対象となる者を絞り込むことが認められるという逃げ道は否定され、原則として継続雇用制度を希望する者全員を対象にしなければならなくなります。ただし、経過措置が設けられ、平成37年3月31日までは、厚生年金が受給できる年齢の者に限り従来の基準による絞込みが可能とされています。また、企業の負担が重くなり過ぎないように厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会で指針を作り、勤務態度や心身の健康状態が著しく悪い人は対象から外せるようにするとしています。

 第2に、親会社に勤務していた者が、定年後に子会社で継続雇用されるという場合のように、事業主と一定の関係にある事業主との間での雇用関係の存続も継続雇用制度の範疇に含まれることになっています。

 第3に厚生労働大臣が事業主に対して高年齢者雇用確保措置に関する勧告をした場合、事業主がこれに従わないときは、その旨を公表することになっています。

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債権の消滅時効について

 社会保険でいうと、年金受給権の消滅時効は5年です。また、保険料等の徴収権及び還付請求権は2年で消滅時効にかかります。賃金債権の時効も、労働基準法によれば2年となります。ここでは、債権の消滅時効について、簡単にまとめておきたいと思います。


1.債権の消滅時効の原則

 債権の消滅時効は、民法167条1項で規定されております。「債権は、10年間行使しないときは、消滅する。」これに対して、不法行為による損害賠償請求権は民法724条で、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」と定められています。

 業務上の労働災害補償について、労災保険制度は、精神的損害をその補償の対象としていないため、労災保険制度と並行して使用者に対して損害賠償請求を行うことが認められています。その際の法的根拠として、民法709条及び715条の不法行為責任又は安全配慮義務の存在を前提にした民法415条の債務不履行責任を上げることになりますが、消滅時効の観点からすれば、不法行為の3年に対して、安全配慮義務違反は10年の消滅時効を主張することができるため、請求権者に有利ということができます。


2.短期消滅時効

 民法や商法には、権利関係を迅速に確定するためにより短い期間で時効が成立する短期消滅時効の場合が規定されています。短期消滅時効の主なものは、次に掲げるとおりです。

(1)5年
 追認できる時からの取消権(民法126条)
 年金・恩給・扶助料・地代・利息・賃借料など定期給付債権(民法169条)
 財産管理に関する親子間の債権(民法832条)
 商事債権(商法第522条)
 相続回復請求権 相続権を侵害された事実を知ったときから(民法884条)
 金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利(地方自治法第236条)
 労働者の退職手当(労働基準法第115条後段)

(商事消滅時効)
第522条 商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に5年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。


(2)3年
 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産、調剤に関する債権(170条1号)
 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権 工事終了のときから(170条第2号)
 弁護士、弁護士法人、公証人の職務に関して受け取った書類についての義務に対する権利(171条)
 不法行為に基づく損害賠償請求権 損害及び加害者を知ったときから(724条、製造物責任法第5条)
 為替手形の所持人から引受人に対する請求権、満期の日から(手形法第70条第1項)
 約束手形の所持人から振出人に対する請求権、満期の日から(手形法第77条第1項第8号)

(3)2年
 弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権(172条)
 生産者、卸売又は小売商人の売掛代金債権(173条1号)
 職人、製造人自己の仕事場での仕事に関する債権(173条第2号)
 学芸、技能の教育者の教育、衣食又は寄宿に関する債権(173条3号)
 詐害行為取消権:債権者が取消しの原因を知った時から(426条)
 労働者の賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権(労働基準法115条前段)
 年金徴収権

労働基準法
115条 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。


国民年金法
102条 年金給付を受ける権利(当該権利に基づき支払期月ごとに又は一時金として支払うものとされる給付の支給を受ける権利を含む。第3項において同じ。)は、その支給事由が生じた日から5年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
2 年金たる保険給付を受ける権利の時効は、当該年金たる保険給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しない。
4 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によつて消滅する。


厚生年金保険法
92条 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、2年を経過したとき、保険給付を受ける権利(当該権利に基づき支払期月ごとに又は一時金として支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利を含む。第4項において同じ。)は、5年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
2 年金たる保険給付を受ける権利の時効は、当該年金たる保険給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しない。



3.国又は地方公共団体との債権

 国の金銭債権及び金銭債務については消滅時効の特則があり、会計法に以下のように規定されています。地方公共団体の金銭債権及び金銭債務についても、地方自治法第236条に同様の規定が置かれています。

会計法
第30条 金銭の給付を目的とする国の権利で、時効に関し他の法律に規定がないものは、5年間これを行わないときは、時効に因り消滅する。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。

第31条 金銭の給付を目的とする国の権利の時効による消滅については、別段の規定がないときは、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
2 金銭の給付を目的とする国の権利について、消滅時効の中断、停止その他の事項(前項に規定する事項を除く。)に関し、適用すべき他の法律の規定がないときは、民法の規定を準用する。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。

第32条 法令の規定により、国がなす納入の告知は、153条(前条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。


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改正労働者派遣法

 改正労働者派遣法は既に公布されていますが、施行日は本年10月1日、ただし、労働契約申込みみなし制度については、平成27年10月1日からの施行とされています。本日は、この改正によって正式名称も「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改められる改正労働者派遣法について概観します。なお、今回の改正でも俎上に上せられた「登録型派遣・製造業務派遣の原則禁止」については今後の検討事項とされ、具体的な手直しは見送られました。


1.日雇派遣の原則禁止

 改正法では、日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)を原則禁止としています(法35条の3 1項)。これは、日雇等短期派遣については、雇用元が雇用管理責任を果たしにくいため違法行為が生じやすく、労働者の保護が十分に行われない傾向にあることを念頭においています。

 専門業務として日雇派遣の原則禁止の例外とされる業務は派遣可能期間の例外26業務より絞られ、(1)ソフトウェア開発、(2)機械設計、(5)事務用機器操作、(6)通訳、翻訳、速記、(7)秘書、(8)ファイリング、(9)調査、(10)財務処理、(11)取引文書作成、(12)デモンストレーション、(13)添乗、(16)受付・案内、(17)研究開発、(18)事務の実施体制の企画、立案、(19)書籍等の制作・編集、(20)広告デザイン、(23)OAインストラクション、(25)セールスエンジニアの営業、金融商品の営業の18業務です。ただし、(16)に駐車場管理などは含まれていません。

 現在派遣可能期間の例外26業務のうち、改正法で日雇派遣の例外とされない業務は、(14)建設物清掃、(15)建設設備運転、(16)駐車場管理等、(24)テレマーケティング、(3)放送機器等操作、(4)放送番組等演出、(21)インテリアコーディネーター、(22)アナウンサー、(26)放送番組等の大道具・小道具です。

 また、日雇派遣の原則禁止の例外として政令で認められる場合は、次のとおりです。
(1)高齢者:日雇労働者が60歳以上
(2)雇用保険法の適用を受けない学生:日雇労働者が定時制の過程に在学する者等を除く学生又は生徒
(3)副業:日雇労働者の収入の額が500万円以上
(4)主たる生計者ではない者:日雇労働者が生計を一にする配偶者等の収入により生計を維持する者であって、世帯収入の額が500万円以上

 派遣元事業主は、労働者を日雇派遣労働者として雇い入れようとするときは、当該労働者が従事する業務が専門業務として日雇派遣の原則禁止の例外とされる業務に該当するのか、又は、当該労働者が日雇派遣の原則禁止の例外として政令で認められる場合に該当しているのか確認する必要があります。

 なお、この規定に遡及効はなく、改正法施行日後に締結される労働者派遣契約に適用されます。


2.グループ企業内派遣の8割規制

 同一グループ内の事業主が派遣先の大半を占めるような場合については、本来は直接雇用すべき者を派遣に切り替えることによって労働条件を切り下げているのではないかという疑いが持たれ不適切であると推定されるため、関係派遣先への派遣割合(関係派遣先へ派遣した労働者の総労働時間をその事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の全ての派遣就業に係る総労働時間で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合をいう。)は、100分の80以下とする規制が設けられました(法23条の2)。

 また、「労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当該離職の日から起算して1年を経過するまでの間は、当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない」(法40条の6)として、離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることを禁止しています。


3.無期転換推進措置の努力義務化

 派遣元事業主には、その期間を定めて雇用する派遣労働者又は派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者の希望に応じ、期間を定めないで雇用する派遣労働者として就業させることができるように就業の機会を確保し、又は派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、これらの機会を有期雇用派遣労働者等に提供するなどの努力義務が課せられることになりました(法30条)。

 このほかに、派遣労働者の保護又は待遇改善の試みとして次のような規定が新たに設けられています。
(1)派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮(法30の2)
(2)派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(いわゆるマージン率)などの情報公開を義務化(法23条5項)
(3)雇入れ等の際に、派遣労働者に対して、1人当たりの派遣料金の額を明示(法34条の2)
(4)労働者派遣契約の解除の際の、派遣元及び派遣先における派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当等の支払いに要する費用負担等の措置を義務化(法26条1項8号)


4.労働契約申込み「みなし」制度

 違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなされます(法40条の6)

改正法40条の6
労働者派遣の役務の提供を受ける者(国(特定独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第2項に規定する特定独立行政法人をいう。)を含む。次条において同じ。)及び地方公共団体(特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第2項に規定する特定地方独立行政法人をいう。)を含む。次条において同じ。)の機関を除く。以下この条において同じ。)が次の各号のいずれかに該当する行為を行つた場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し 、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす。ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、その行つた行為が次の各号のいずれかの行為に該当することを知らず、かつ、知らなかつたことにつき過失がなかつたときは、この限りでない。

一 第4条第3項の規定に違反して派遣労働者を同条第1項各号のずれかに該当する業務(※派遣禁止業務)に従事させること。
二 第24条の2(派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主からの労働者派遣の受入れの禁止)の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。
三 第40条の2第1項の規定(派遣可能期間)に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。
四 この法律又は次節の規定により適用される法律の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第26条第1項各号(契約の内容)に掲げる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること。

2.前項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者は、当該労働契約の申込みに係る同項に規定する行為が終了した日から1年を経過する日までの間は、当該申込みを撤回することができない。

3.(省略) 
4.(省略)


※派遣禁止業務
①港湾運送
②建 設
③警 備
④医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士等(紹介予定派遣は例外)

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改正労働契約法

 厚生労働省は、労働契約法の一部を改正する法律を8月10日に公布しました。この改正は、有期労働契約の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消し、また、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を是正するため、有期労働契約の適正な利用のためのルールを整備することを目的としています。有期労働契約のあり方については、労働政策審議会労働条件分科会において、有期労働契約の締結そのものについての規制(入口規制)についても検討されましたが、規制該当、非該当をめぐる紛争発生の懸念及び雇用機会の減少の懸念等を踏まえて、入口における規制の法制化は見送られることになりました。

 なお、2については、公布日の平成24年8月10日から施行、1及び3については、公布の日から起算して1年以内の政令で定める日から施行されるとしています。


1.有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換

 有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合(※1)は、労働者の申込みにより、無期労働契約(※2)に転換させる仕組みが導入されます。
(※1) 原則として、6箇月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しません。
(※2) 別段の定めがない限り、従前と同一の労働条件とします。

 有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合とは、例えば、契約期間が1年の有期契約労働者が、4回契約更新を行った段階では、通算契約期間は5年ですので、「5年を超え」てということにはなりません。従って、無期転換権も生じていません。しかし、5回目の契約更新が行われると、通算契約期間が「5年を超える」ことになり、無期転換権が発生すると考えられます。ただし、有期労働契約から無期労働契約への転換は、現在の有期労働契約が終了する日の翌日からとなります。従って、契約期間が1年の有期契約を更新していくときは、7年目の契約開始時から無期労働契約が開始すると考えます。

 この新たに成立する無期労働契約の契約条件は、契約期間を除き、原則として現に締結している有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件でなければなりません。

第18条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

2.当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。


 なお、改正法附則は次のように経過措置及び検討規定を設けています。
 18条の規定は、施行の日以後の日を契約期間の初日とする期間の定めのある労働契約について適用し、施行の日前の日が契約期間の初日である期間の定めのある労働契約の契約期間は、1項の「通算契約期間」には算入しません。また、18条の施行後8年を経過した場合において、その施行状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしています。


2.「雇止め法理」の法定化

 雇止め法理(判例法理)とは、有期労働契約の反復更新により無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、又は有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、合理的期待が認められる場合には、雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、有期労働契約が更新(締結)されたとみなすというものです。

第19条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働の締結の申込みをした場合であって使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。



3.期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止

 有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとしています。

第20条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

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年少者と労働の問題

 20年近く前、ニューヨークタイムズが、「泡沫経済崩壊後、日本が創造した唯一の産業『援助交際』」というおふざけ記事を掲載したことがありました。この記事を見て、ある意味で日本も落ちるところまで落ちたものだなという感想を抱いたものです。我が国には、所属する共同体に対して献身的に奉仕する精神や危機に際して秩序を維持し、混乱に乗じて窃盗など犯罪を犯さないという高い倫理観が残っており、世界標準から見れば、まだまだ捨てたものではないことが昨年の大震災などをきっかけに再認識されることになりました。しかし、国の将来を担う子供や若年層を大切にしてきた文化を踏みにじる風潮は、この新産業が出てきたころから急速に蔓延しつつあるのではないかという危惧を抱いて今日に至っているというのもおおげさなことではありません。

 「群馬県桐生市の中学校体育館で、アルバイトとして解体作業をしていた栃木県足利市五十部町(よべちょう)、中学3年石井誠人君(14)がブロックの下敷きになって死亡した事故で、群馬県警は7日夕、石井君を雇っていた群馬県太田市の解体業者を労働基準法違反(年少者使用)と業務上過失致死容疑で捜索した。捜査関係者によると、解体業者は石井君の同級生(15)も雇用。県警は押収した作業日報などを分析し、労基法が禁じている中学生以下の年少者を雇った経緯を調べる。」(8月8日 読売新聞)

 「足利市立西中3年の石井誠人君(14)が群馬県桐生市の中学校体育館の工事現場で作業中に死亡した事故で、県教委は8日、各市町教委に対し、職場体験の在り方を再確認するよう通知を出すことを決めた。9日にも通知する。一方、西中は8日、生徒と保護者向けにそれぞれ説明会を開いた。保護者からは事実上、学校が中学生の労働を容認していたことに厳しい意見が相次いだ。」(8月9日 読売新聞)

 労働基準法では、未成年者について18歳未満の者を「年少者」、15歳到達後の3月31日終了までの者を「児童」と定義して、特別に保護を図っています。義務教育を受けている者、すなわち児童を労働者として使用することは原則として禁止です。また、18歳未満の年少者については、労働をさせてもよいが、法定労働時間及び週休制の原則を守って労働させることとし、原則として、変形労働時間制、時間外・休日労働及び労働時間・休憩の特例を認めないこととしています。使用者は、労働者が年少者である場合には、その年齢を証明する戸籍証明書を事業所に備え付けなければならず、さらに、例外的に児童を使用する場合には、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意者を事業場に備え付けなければならないことになっています。

 例外的に児童を使用できる場合とは、次のような条件を満たす場合とされています。

(1)就業する事業が非工業的事業であること
(2)児童の健康及び福祉に有害でないこと
(3)その労働が軽易であること
(4)所轄労働基準監督署長の許可を受けること
(危険有害業務、軽業又は大道芸の類、飲食店又は娯楽場の業務などは許可してはならない)
(5)満13歳以上であること
(ただし、映画の製作又は演劇の事業については、13歳未満も例外的に就業が認められる)

 国家の最優先課題は、1にも2にも教育です。その義務教育を担っている学校が自ら教育の機会放棄をして、労働基準法違反の疑いのある事業場に手を貸していたというのでは、全くお話になりません。

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