社労士試験受験生の皆様、お疲れ様でした

  第43回(平成23年度)社会保険労務士試験が昨日終了しました。受験者数は、約67700人(当日欠席者などを含む)、合格発表日は11月11日(金)とされています。東京は、この季節に相応の暑さだったものの、まずまずの好天に恵まれました。地震などの天災が襲ってくることもなく、つつがなく終了することができたと言ってよいでしょう。今年は、こういったごく当たり前と思っていた事柄にも感謝の気持ちが自然と湧いてきます。

 受験生の皆様本当にお疲れ様でした。とりわけ東日本大震災による一連の災害で被災された受験生の方々は、本当にご苦労が多かったことと思います。また、被災県での試験の運営に当たられた関係者の方々には、頭が下がる思いです。今回の社労士試験に関わられた受験生及びその運営に携わった全ての皆様、本当にご苦労様でした。

社会保険労務士試験 オフィシャルサイト


20110728_蓮華@不忍池002

退職共済年金の在職による年金支給停止の仕組み

1.退職共済年金の受給権者が在職者である場合

 退職共済年金の受給権者が60歳を過ぎても在職者である場合というのは、大きく分けると次のようになります。

(1)60歳で退官し、民間に再就職したので、厚生年金の被保険者等となる場合(国家公務員法81条の2及び地方公務員法28条の2は、公務員の定年退職年齢を60歳と規定しているので、これは普通に起こり得る事例です)
(2)60歳で一旦退官しますが、特別な事情で60歳以降に再任されるなどで、組合員となる場合
(3)60歳で退官し、個人事業主として働く、又は正社員の四分の三の所定労働時間で働く場合

 このうち(3)は、共済組合の組合員でも厚生年金保険の被保険者でもないので、退職共済年金の支給停止は問題になりません。次に(1)ですが、「厚生年金の被保険者等」の中には、私学共済制度の加入者及び特定教職員等又は国会議員若しくは地方議会の議員も含まれます。この場合には、職域加算額及び加給年金額を除いた退職共済年金の12分の1の額である基本月額と総収入月額相当額(厚年の総報酬月額相当額に同じ)との合計額が停止解除調整変更額の46万円(平成23年度)を超えた額に二分の一を乗じた金額を支給停止額とします。年金は、文字通り年額で見ていきますので、支給停止額は、次の式で表されます(国家公務員共済組合法80条、地方公務員共済組合法82条等)。また、厚生年金の高在老と同様に70歳以上にも適用されます。

支給停止額={(基本月額+総収入月額相当額)-46万円}×1/2×12

 次に(2)の場合です。公務員は、定年が原則60歳であること、受給権の発生が退職を前提に65歳からが原則となっていることから、(1)に比べて想定しずらい感じもするのですが、退職共済年金の受給権を取得しているのと同一の共済組合の組合員として在職し続けるという事態が生じた場合、「退職共済年金の受給権者が組合員であるときは、組合員である間、退職共済年金の支給を停止する」のが原則となります。そして、その例外として、職域加算額及び加給年金額を除いた退職共済年金の12分の1の額である基本月額と総報酬月額相当額との合計額が停止解除調整開始額の28万円以下である者については、支給停止を行わず、基本月額と総報酬月額相当額との合計額が停止解除調整開始額の28万円を超える者については、厚生年金保険法の低在老と同一の方法で支給停止額を決定することになっています(国家公務員共済組合法79条、地方公務員共済組合法80条等)。


2.老齢厚生年金の受給権者が共済組合の組合員である場合

 高在老について規定した厚生年金保険法46条1項は、「老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日若しくはこれに相当するものとして政令で定める日又は70歳以上の使用される者(前月以前の月に属する日から引き続き当該適用事業所において第27条の厚生労働省令で定める要件に該当する者に限る。)である日...」といい、低在老についての同法附則11条1項は、「附則第8条の規定による老齢厚生年金(第43条第1項及び附則第9条の規定によりその額が計算されているものに限る。第5項において同じ。)の受給権者が被保険者である日が属する月において...」と規定しています。つまり、厚生年金の在職老齢年金に関する規定は、私学共済制度の加入者及び特定教職員等の在職者を含めて適用されるものではあり得ず、したがってこのような在職者が老齢厚生年金を受給することを制限することはありません。

 次に、例えば20歳から60歳までの間に、厚生年金保険の被保険者であった期間が20年、共済組合の組合員であった期間も20年であったような場合、在老の仕組みをどのように当てはめるのかということを考えてみます。60歳以降、厚生年金保険の被保険者である場合には、老齢厚生年金として受給している年金について、厚生年金保険の在職老齢年金の支給制限の計算を行い停止額を決定します。また、退職共済年金については、退職共済年金として受給している年金についてのみ、前述した基本月額と総収入月額相当額(厚年の総報酬月額相当額に同じ)との合計額が停止解除調整変更額の46万円(平成23年度)を超えた額に二分の一を乗じた金額を支給停止額とする計算を行って支給停止額を決定することになります。

 また、同じ例で、今度は60歳以降私学共済制度の加入者及び特定教職員等である場合には、老齢厚生年金について支給制限は問題にならず、退職共済年金について、この退職共済年金が今現在加入している共済制度と同じ私学共済制度からのものである場合には、前述の厚生年金保険における低在老と同様の仕組みによる支給制限となり、退職共済年金が今現在加入しているものとは異なる共済組合の年金である場合には、基本月額と総収入月額相当額(厚年の総報酬月額相当額に同じ)との合計額が停止解除調整変更額の46万円(平成23年度)を超えた額に二分の一を乗じた金額を支給停止額とする計算を行って支給停止額を決定することになります。

 ちなみに、上の例のように厚生年金保険の被保険者であった期間及び共済組合の組合員であった期間がある場合、厚生年金保険の管掌者は国であり、退職共済年金の保険者は共済組合なので、裁定請求の手続きには、老齢厚生年金については国家公務員共済組合連合会などが発行した「年金加入期間確認通知書」を、退職共済年金については厚生労働省が発行した「年金加入期間確認通知書」及び「標準報酬月額等届」を添付しなければなりません。

ソーシャル・メディアと就業規則

1.ソーシャル・メディア(Social Media)の隆盛と問題点

 Twitter、Facebookと米国発のソーシャル・メディア(Social Media)が勢いを増しています。検索の巨人GoogleもGoogle+の新サーヴィスを開始し、迎撃態勢を整えつつあるようで、ソーシャル・メディアをめぐる世の中の動きから目が離せなくなっています。そんな中で、従業員がTwitterなどに業務で知り得た情報を気軽に投稿してしまい、企業の信用問題に発展するような場合も散見されるようになりました(「軽率ツイート」大騒動に)

 これまでは、「会社のパソコンでインターネット、E-mail等を私的に利用してはならない。また、会社は不正使用がないか、会社のパソコンについて従業員の使用状況を適宜検査することができる」などの服務規律を就業規則で謳っておいて、服務規律に違反した場合には、一定の懲戒処分を行うことで就労時間中の問題にはそれなりに対処することができました。また、「業務上知り得た顧客及び従業員等の個人情報を社外に持ち出してはならない。その他別途定めた『秘密情報管理規程』を順守しなければならない。」、「業務上知り得た会社の業務の方針、重要事項等の社内機密を外部の人に話したり、関係する書類を見せたりしてはならない。また、雑談などから当該内容を外部の人に察知されないようにしなければならない。」といった類の服務規律は、従業員の私的な時間であっても遵守されると考えるのが常識です。

 もちろん、これらの規定は、ソーシャル・メディアであろうがなかろうが遵守されるべきことではありますが、現実社会に比べ、仮想世界性が高いともいえるソーシャル・メディアにおいては、現実世界におけるほど従業員の良識や警戒感が働きにくい傾向にあるのかもしれません。特に、匿名性が高いTwitterなどは要注意のようです。


2.ソーシャル・メディア(Social Media)への企業の対応

 日進月歩のIT技術に対して、できる限り事の本質を整理して、何らかの事前対策を準備しておくことは必要です。第一に、会社のPCでのインターネットへの接続を禁止にしてしまうというのは、今どき有り得ない選択のように思えます。また、スマート・フォンなどの高機能携帯端末が怒涛の勢いで普及している昨今、会社のPCだけ規制をかけても問題は解決しません。やはり、「携帯電話等高機能携帯端末は、就業時間中の使用を禁止する。ただし、業務でこれを使用することにつき事前に会社から許可を受けている者、特別の事情で電話又はE-mailの受信について事前に所属部長に届け出ている者は、この限りではない。」といった服務規律を準備する必要があります。

 第二に、技術的な側面から、会社のPCによるインターネットの使用では、個人のIDによる認証が必要な画面に入っていけない設定にすることによって、少なくとも会社のPCを使ってTwitterやFacebookを使うことはできなくなりますし、特定の掲示板への書き込みなどもできなくなります。しかし、こういった設定は、社内にそれなりのITに詳しい人材がいないと難しいことなのかもしれません。

 問題の本質は、入れ物がソーシャル・メディアという新しい容器ではありますが、中身は「個人情報の漏えい」又は「業務上知り得た秘密の漏えい」など古典的な話であり、従業員教育の徹底によって従業員が従業員として服務規律を遵守できればそもそも起こりえないことのようにも思えます。しかし、容器が新しくなることによって、従業員のこれまでの遵守意識を麻痺させたり、社会への伝播の速度が飛躍的に増してしまい、従来のような対処では手が付けられなくなるなど、古典的な事例とは様相を異にしているのも事実です。

 Facebookなどを会社として積極的に利用している日本コカ・コーラも「ソーシャル・メディアの利用に関する行動指針」を作成して、ソーシャル・メディアの隆盛を上手に活用しながらも、それに伴って生じ得る様々な不都合を回避しようとしています。行動指針は、1.本行動指針の基本理念、2.ソーシャルメディアに関するコカ・コーラからのコミットメント及び3.社員及び協力会社によるソーシャルメディアの利用についてからなり、個人の立場でソーシャル・メディアを利用する場合及びコカ・コーラを代表する立場で、各ブランドや企業についてソーシャル・メディアを通じて語る場合について述べています。

 個人の立場でソーシャル・メディアを利用する場合
 1.本行動指針の基本理念、2.ソーシャル・メディアに関するコカ・コーラからのコミットメントを理解した上で、3.社員及び協力会社によるソーシャル・メディアの利用についてを遵守することが求められます。ザ コカ・コーラ カンパニーが掲げる事業運営規範(Code of Business Conduct)、コカ・コーラシステムの社員及びコカ・コーラシステムの業務に従事する協力会社の社員が所属する各社の就業規則、及びその他の関連諸法令や方針等の遵守はもちろんのこと、ソーシャル・メディア活動においてコカ・コーラが掲げる5つの基本的価値観を理解し、ソーシャルメディア活動に参加する際に求められる4項目を遵守することは、ソーシャル・メディア上の活動に、たとえ個人としての立場で参加する場合であっても、必要な前提条件となります。なお、ソーシャルメディア活動に参加する際に求められる4項目の内の1つは、次のように述べています。
 
 ソーシャル・メディア上では、業務に関する記述と自身のプライベートに関する記述の境界が非常に曖昧になりやすい特徴があります。コカ・コーラシステムでは従業者の言論の自由を尊重していますが、同僚や上司、更にはビジネスパートナーもそれらのコンテンツにアクセスしたり、転送されて目にしたりする場合があることを忘れてはいけません。そのため、業務における機密情報の記載は一切行わないのは勿論のこと、コカ・コーラシステムとしての公式見解や利益に反する立場を公にしたような場合には、ブランド価値の毀損につながる議論や憶測を引き起こす可能性があることを、十分認識する必要があります。

 コカ・コーラを代表する立場で、各ブランドや企業についてソーシャル・メディアを通じて語る場合
 コカ・コーラシステムを代表する立場で、コカ・コーラの企業活動や各ブランドについてソーシャル・メディアを通じて発言するためには、所属する組織や雇用の形態にかかわらず、日本コカ・コーラが定める認定トレーニング・プログラムを受講して認定を受けることがその前提条件となります。各種ソーシャル・メディア上においてなされるコカ・コーラの企業活動や各ブランドに関する記述のうち、日本コカ・コーラが公認するアカウント内で、かつ認定トレーニング・プログラムを受講して認定を受けた従業者によって記述されたもののみが、コカ・コーラシステムの公式見解として認定されます。なお、公認アカウントは、日本コカ・コーラの社員ならびに公認アカウントの運営サポートを委託された代理店及び制作会社のスタッフにより運営・記述されます。

「ソーシャル・メディアの利用に関する行動指針」

首相退陣の条件としての電力買取法案

 朝のNHK第一で流れていた解説の類ですが、何でも我が国と韓国の電力料金は、既に我が国が韓国のおよそ2.5倍の高い水準になっているそうです。これには、韓国ウォンの為替水準がここもと3割強円に対して下落していることにもよりますが、地震の危険がほとんどない韓国では日本以上に原発への依存を高めていること、温暖化ガス排出に神経を使っていないので費用の高いLNGを火力発電に使うことに消極的なこと、輸出立国を推進するため国家戦略として電力料金を低く抑え込もうとしていることなどによるということでした。

 一方、我が国は首相退陣のための3条件というものがいつの間にか独り歩きを始め、最後に残っているのが「電力買取法案」です。この法案は、原発に依存しない電力供給を促すために、再生可能な自然エネルギーによって作られた電力の長期にわたる買取りを電力会社に義務付けるものです。しかし、この事業にかかる費用を一体誰が負担するのか未だ明確には決まっていないそうです。電力会社が自然エネルギー由来の電力買取を行うとして、それにかかる費用増は全て最終消費者に転嫁するとします。すると、一般家庭にとってもちろん負担増ですが、それ以上に電力多消費型の製鉄会社などが被る打撃は洒落にならない金額なのだそうです。このように少し考えただけでも、我が国の産業政策に将来禍根を残しかねない重要な法案が、自ら辞任を示唆し、与野党ともに大多数の国会議員が当然辞任すべきだと考えている人物をただ辞任させるために、拙速に国会を通過することになるのかと思うと、全くの本末転倒という感じがいたします。

 ところで、糸魚川静岡構造線にほぼ沿い、東側が50Hz、西側が60Hzの周波数の違いによる不都合を回避する事業はどうなったのでしょうか。現在各電力会社間での相互融通は、異なる周波数の電力会社間での相互融通のために、周波数変換を行う周波数変換所が設けられています。周波数変換所としては電源開発の佐久間周波数変換所、東京電力の新信濃変電所、中部電力の東清水変電所の3箇所があり、融通可能な電力は佐久間変電所は最高30万kW、新信濃変電所60万kW、東清水変電所10万kWで、両周波数間で融通できる最大電力は100万kWにすぎないとされています。多少の費用増と不都合はあっても将来何か大きな事故又は災害があった場合に必ず役に立ちそうな東西の周波数統一事業など、得体の知れない自然エネルギーの開発に優先して行うべき施策はいくらでもあるのではないかと思います。

世界経済の行方

1.8月に起きたこと

 2011年もあっという間に半分以上過ぎてしまいました。3月11日の東日本大震災以来、日本経済は危機対応の異常事態がずっと続いています。そうこうしているうちに、8月に入って米国の公債発行法案問題及び米国債の格下げ問題に端を発する世界同時株安が勃発し、我が国は仮借のない円高の進行に見舞われることになりました。今週に入って株式市場は日米ともにやや落ち着きを取り戻したかに見えますが、先月末から今月10日までのNYDowの下落幅は1424ドルで、率にして12%程であり、日経平均は795円、8%程の下落でした。欧州株の下げ幅はこれ以上で、ドイツなどは主要指標で1545の下落幅、つまり21%の下落率を記録しています。

 今年に入ってから、「2011年の景気はどうなるか」_1月6日「最近の米国株式の上昇と食糧価格高騰の関係」_2月19日で、米国については我が国のような極端な人口の変動が生じていないことを主な理由として、米国の景気動向は循環的なものであるはずという考え方を紹介したのですが、今回は少し違った視点から見てみたいと思います。


2.Lehman前の世界経済

 前回の金融危機を象徴するLehmanの経営破綻が今から3年前の2008年9月のことです。その前年2007年には、サブプライムローン問題が既に表面化していて米国経済は不穏な状況ではあったのですが、それまで世界経済は、どのような仕組みで回っていたのかを思い出してみたいと思います。その当時すでに言われていたことは、「世界が作り、米国が買う」という構造です。この時期、米国の消費は過剰な伸びを見せ、国内生産だけでは到底賄えず、世界中から輸入する状況でした。日本は、中国など亜細亜に対する輸出を増やしていたと言われていますが、その中身は中国などに対して部品、機械又は設備の類を主に輸出し、それらを使用して生産された最終消費財の多くは中国などから欧米や日本に、とりわけ米国に輸出されていたので、結局は米国に輸出していたとも言えるのです。

 それでは、このような米国における過剰消費を支えていたものは何かということが、次に問題になります。なぜなら、米国は2000年前後からITバブルの崩壊などもあって個人所得が大きく伸びてはいなかったからです。そこで、個人所得の伸びに代わって2000年代前半の個人消費の伸びを支えたものは、住宅価格の上昇でした。米国の活発な個人消費は、住宅に代表される資産価格の上昇に過度に依存した不健全なものであったことが後に分かってきます。そしてこの住宅バブルを金融面で支えていたのが、サブプライムローンを始めとした金融工学により生み出された派生金融商品でした。


3.Lehman以降

 「世界が作り、米国が消費する」という世界経済の構造が崩壊したのが、Lehmanの倒産劇に象徴される金融危機でした。このような経済における負の遺産を背負って登場したObama大統領が取り組まなければならなかった課題の一つは、米国経済の立て直しです。ところで、現在世界のGDPの4分の1以上を占める米国のGDPですが、その約7割は個人消費が占めています。つまり、当面の米国経済の立て直しとは、住宅バブルの崩壊で傷んだ個人消費を如何に健全かつ迅速に回復させるのかという課題に取り組むことだったということができます。さらに踏み込んでいえば、市場原理主義や金融資本主義を推し進めた結果、貧富の格差が拡大して中産階級が没落していくという問題を早急に「所得の再配分」を行って解決しなければならいと言うことだったと思います。

 Obama大統領の肝いりで推進され、政権最大の実績であると強調される医療保険改革法もこれまで国民皆保険の医療保険制度が存在しなかった米国に強制加入の医療保険制度を導入するというものですから、所得の再分配という狙いがあったものと思われます。しかし、この法案に対する違憲判決が8月12日アトランタ連邦高裁で下されたと伝えられました。違憲とされたのは、2014年から国民に原則として保険加入を義務付け、加入しなければ罰則を設けている条項で、判決は「(義務化する)法案を可決した議会は権限を逸脱した」というものです。記事によれば、同条項は全米26州で係争中であり、アトランタ連邦高裁での違憲判決を受けて連邦最高裁判所での判断を仰ぐのが早まるかもしれないとの見通しもあるようです(Health Law Is Dealt Blow by a Court on Mandate)。こういう報道を見るにつけ、大統領は最大の課題に解決の目途がつけられず、来年の秋に予定される選挙に苦戦を余儀なくされるのではないかとさえ思われるのです。

 米国では、金融危機が顕在化して以降共和党政権の時代から、通貨供給量を圧倒的に増やす金融緩和策を実施して金融危機の再来と経済崩壊を回避しつつ、個人消費、企業投資及び輸出の伸びを促して経済の回復を図ろうとしていたようですが、その成果が見られないうちに8月の小パニックが起こってしまいました。世界経済の4分の1を占める米国経済が依然として脆弱なままであることが判明した以上、今後、どこの地域から何をきっかけに金融危機が勃発してもおかしくはない状況がしばらく継続すると考えておくべきなのだと思います。