英国について

今年のクリスマスは、24日のクリスマスイヴが金曜日で、25日のクリスマスが土曜日でした。そこで、欧米諸国のクリスマスの休日はどうなるのかなと思っていたところ、25日のクリスマスが休みの米国や欧州のドイツなどは、前日のクリスマスイヴを振替日としたようです。しかし、英国は、本来の25日及び26日のボクシングデイの休日を27日と28日に振り替えていました。英国系のカナダ、豪州などはこれに倣ったと思われますが、英国は、欧州の中では欧州標準からいつも一歩引いたところにいるように思えます。

そもそも、個性的な国が多い欧州で、標準などというものがあるのか分かりませんが、例えば交通規則や度量衡です。歴史的に大陸諸国は、右側通行及び左ハンドルの組み合わせですが、ドーヴァー海峡を渡ってブリテン島に着くととたんに左側通行及び右ハンドルの組み合わせです。更に、度量衡も仏革命及びそれに続くナポレオン戦争で当時の欧州大陸屈指の大国となったフランスが決めたメートル法が欧州大陸を席巻しましたが、英国人だけは頑ななまでに仏方式にはなじもうとせず、我国における尺貫法に相当するフィートやストーンの世界に生きています。自動車の計器類はもちろんマイル表示です。

そういう観点で物事を見ていくと、英国はEUについてもいまだに共通通貨の導入には消極的で、推進派の独仏などに比べると1歩も2歩も引いている印象は否めません。だからといって、英国人が島国根性を十二分に発揮して自国市場を守るために外界から閉ざされた世界に生きているかというと、世界から情報を収集し、かつ発信しているBBCやReuterを有することにも見られるように、情報(諜報)活動はお家芸ともいえる国柄です。したたかな英国人のこと、四方を海に囲まれた島国の優位を最大限に利用しつつ、大陸の動向もしっかりと押さえて国益の最大化を追求しているのでありましょう。

ところで、最近はあまり言わなくなりましたが、前首相が唱えた大東亜共栄圏ならぬ東亜細亜共同体構想というのがありました。世界の成長地域亜細亜に乗り遅れないように我が国が主導権をとるには何をなすべきかというような情緒的な問題意識から安易に出てきた思い付きという感じはいたしますが、我が国の国益は一体どこにあるのかを考え抜いた末の構想であったのか、よく分かりません。ここはかつて連合艦隊がそうしたように島国の先輩のやり方を見習っておくところではないかと思われます。

宙に浮いた企業年金及び総背番号制

ここ数年公的年金関連の業務に携わってきました。企業年金は、国等が保険者である狭義の公的年金とは異なり、元々自分が積み立てたお金を元手に年金を支払う積立方式です。また、管理業務は信託銀行又は生命保険会社に委託するのが通常で、委託機関で厳密な管理がなされています。それにもかかわらず「宙に浮く」問題が多発かつ増加していると日経紙が報じています。制度に欠陥があるといわざるを得ないのでしょう。小生は、公的年金制度全体に散見される不備を取り敢えず補う方法として、中学又は実質義務教育化している高校教育において、税金及び年金の制度についての基礎を教えるということを主張しています。知識は力なりです。

また、日経紙は制度の不備を補う方法として、米国の社会保障番号制度を例に挙げ、共通番号制度について言及しています。今後国民総背番号制の導入が課題として議論の俎上に上せられることになるのは必至だと思われます。

=== 日本経済新聞電子版より引用 ===

企業年金、180万人分が不明、3月末3000億円
2010年12月28日 日本経済新聞 朝刊  

公的年金を補完する企業年金で、手続きの不備などで放置され、持ち主が不明な年金資産が3月末時点で約180万人分あることがわかった。資産の総額は約3000億円に上る。転職後の移管手続きや年金の受給申請をしていないことが主な理由で、手続きしないとこの分は受け取れない。税・社会保障の共通番号制度など、個人が自分の年金を一元的に知ることができる仕組みの導入が急務だ。

企業年金にはあらかじめ受け取る年金額が決まった厚生年金基金などの確定給付型と、個人の運用成績で年金額が変わる確定拠出年金がある。帰属が不明な180万人分の中で、若いうちに転職して厚年基金の受給資格を満たしていない人などの分が144万人(資産1579億円)。この資産は企業年金連合会に移っており、厚年基金に入っていた証明などを提出して手続きすれば受給できるようになる。

企業に一定期間勤めて受給資格を満たした人の資産は各厚年基金に残っている。このうち受給資格者が手続きを終えていないため持ち主が確定せず、厚年基金が支給に向けた処理を進められない資産が14万3千人(同1008億円)分ある。

2001年から始まった確定拠出年金では転職や失業などで21万7千人分(同456億円)が宙に浮いている。会社を辞めると制度から抜け、6カ月以内に手続きすれば転職先や個人の確定拠出年金の口座に移る。ただ、手続きしなければ国民年金基金連合会に移り、運用できなくなる。

帰属がはっきりしない年金資産が増えると、各年金にとっては加入者追跡などの事務コストがかかる。受給資格者の請求に時効はなく、半永久的に連絡をしなければならないため他の受給者にも影響を及ぼしかねない。終身雇用が定着してきた日本では、企業年金は定年退職後に受け取るという認識が広まっていた。ところが転職が増え、個人で手続きしないと資産が自分のものとして確定できない例が続出。住所が不明で請求書類が届かない人や、住所が把握できても請求書類を返送しない人、年金額が少なく請求しない人も多い。各企業年金とも転退職した人へ手続きするよう促しているが、問題は解消していない。横浜国立大の山口修教授は「受け取る年金額の割に手続きが煩雑」と指摘する。必要な書類が多いうえ、自分の年金資産がどこに残っているかわからないケースもある。

日本では公的年金と企業年金の記録を別々に管理しているので、宙に浮いた年金資産問題が発生してしまう。米国の年金制度は日本ほど複雑ではなく、居住者が持つ社会保障番号で自分の年金の状況を把握できる。共通番号制度を導入すれば、自分の年金資産がどこにいくらあるかを確認できるほか、煩雑な手続きも簡素化できる可能性がある。

=== 引用おわり ===

未払い残業代

出口の見えない不況のせいか、今後「未払い残業代の請求」が大きな問題になってくるかもしれません。考えてみれば、今春の割増賃金等に関する労働基準法の大改正やメンタルヘルス問題の背景には、長時間労働の問題があります。それほどまでに長時間労働の問題があるということは、本来ならば人件費がかさんで仕方がないということになるはずですが、それでもなお長時間労働がなくならないということは、隠然とした「未払い残業代の請求」の問題が表に出てこないでそこいら中にあるということを意味するのではないかと恐れています。

=== 読売新聞電子版より引用 ===

すき家店員らがゼンショー提訴

労働組合の団体交渉権を侵害し、労働者としての尊厳を傷つけられたなどとして、大手牛丼チェーン「すき家」で働く仙台市のアルバイト女性(43)と、女性を支援する労働組合「首都圏青年ユニオン」は13日、すき家を展開するゼンショー(東京)に計約360万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。訴状によると、同ユニオンは2007年2月、女性の未払い残業代の支払いなどを求めて団交を申し入れたが、同社は拒否。今年7月には中央労働委員会が「団交拒否は不当労働行為」と認定したが、応じなかったという。

同社広報室は、「訴状が届いていないためコメントは差し控える」としている。

(2010年12月14日 読売新聞)

=== 引用おわり ===

(註)ゼンショー
東証一部上場。本社は東京都港区港南二丁目18番1号JR品川イーストビル6-8階。
M&Aに積極的で、2000年代には各ジャンルの外食チェーンを次々と買収し傘下におさめている。グループ連結子会社に、ファミリーレストランチェーンの「ココスジャパン」や「サンデーサン」、牛丼とうどんを中心とする外食チェーンの「なか卯」「すき家」などを有する。反面、急激にグループ拡大を進めたことにより有利子負債が急増したため、不採算チェーンの統廃合を進めており、どんぶり専門店の「たの家」、カレー専門店の「南南亭」、ハンバーガーチェーンの「ウェンディーズ」からは撤退した。海外へも事業展開を進めており、2006年にアメリカで約200店を経営するカタリーナ・レストラン・グループを買収する。

社名は以下の語呂に由来する。
創業時からの目標である「フード業世界一」になるためには、「14勝1敗」では駄目で「15戦15勝」つまり「全勝」でなくてはならない。善意の商売を行う。「禅」の心で商売を行う。

(出典:Wikipedia)

日本の国際競争力-その2-

12月24日の新聞は、一般会計92.4兆円の内44.3兆円を税収を上回る国債発行でまかなう2年連続の異常予算案という記事で占められていました。しかし、「1人当たりGDP、2年連続で減少 09年度は 3.6%」の記事も重要と思い、あえて引用しておこうと思いました。いまさら2009年のことを言われてもという感じはありますが、依然止まらない急激な円高は、こういった経済統計にも騙し的な作用を及ぼすものと改めて思い知らされた次第です。

=== 日本経済新聞電子版より引用 ===

内閣府が24日発表した2009年度の国民経済計算確報によると、1人当たり名目国内総生産(GDP)は371万6千円と、前年度に比べて3.6%減少した。08年秋のリーマン・ショックの余波で2年連続で減少した。ただ、円高の進行でドルに換算すると09年(暦年)は3年連続のプラスとなり、経済協力開発機構(OECD)内の順位は前年から3つ上がって16位となった。

1人当たりGDPが2年連続で前年を下回るのは、不良債権問題が深刻だった01~02年度以来。09年度は08年度の金融危機の影響が色濃く、名目GDP全体は474兆400億円と前年度と比べ3.7%減り、2年連続のマイナスとなった。危機前の07年度と比べ8%減少し、日本の経済規模が急速に縮んだ。09年度の総人口は前年度と比べて0.1%減り、名目GDPを総人口で割った1人当たりGDPは371万6千円となった。雇用者報酬が落ち込んだことで、09年度の1人当たりの国民所得も3.5%減少した。

ただ、円高・ドル安の影響で、1人当たりGDPをドルに換算すると、円ベースとは異なる傾向が浮かび上がる。09年(暦年)は3万9530ドルと、08年よりも3.2%増加した。09年の円・ドル相場は平均1ドル=93円54銭と08年より9.5%円高・ドル安が進んだ。この結果ドル建ての1人当たりGDPが押し上げられた。内閣府によると、OECD加盟34カ国での日本の順位は前年の19位から3つ上昇。英国、イタリア、アイスランドを抜いて、00年以来、9年ぶりに順位が上がった。日本の1人当たり名目GDPは1993年にはルクセンブルクに次いで2位だったが、その後はバブル経済の崩壊の影響もあって順位を下げていた。09年の世界全体のGDPに占める日本の割合は8.7%で、前年の8.0%から上昇した。円高による押し上げが大きく、シェアは06年(8.8%)並みとなった。

ドル建て1人当たり名目GDP
=== 引用終わり ===

協会けんぽ、保険料率23年度も上昇

本日の日本経済新聞に「協会けんぽ、保険料率9.5%に上昇」の記事が掲載されていました。この記事は、必ずしも正しいものではありません。というのは、かつて政府管掌健康保険とされていたものが協会けんぽなのですが、この保険料率は全国一律ではないからです(註)。

いずれにしても、現在賃金や物価がほとんど上昇しないデフレ経済下で、社会保険料負担だけが増加し、しかも給付は物価水準に連動して下がる(例えば年金給付額は来年度から引き下げられることが決定されました)ということは、実質的な負担増ということができます。その構造的な原因は、給付を受ける人の増加と負担をする現役世代の減少です。医療技術の進歩を併記しているのは、問題の本質から目をそらす言い訳のような気がしないこともありません。

=== 日本経済新聞電子版より引用 ===

中小企業の会社員らとその家族が加入する協会けんぽは24日、労使で折半して負担する健康保険料率が2011年度に9.5%と今年度に比べ0.16%上昇する見込みと発表した。高齢化と医療技術の値上がりの影響で医療費の支出が膨らむため、保険料率の引き上げは避けられないと判断した。引き上げは2年連続になる。
年収400万円の会社員の場合、保険料の負担は来年4月納付分から月260~270円程度増える見込み。年収500万円だと月330~340円の増額になる。企業も会社員と同じ額を負担する。40歳以上が負担する介護保険料率は来年度に1.51%と今年度に比べ0.01%上がる見通し。

協会けんぽが24日発表した収支イメージ(健康保険分)によると、来年度の医療費などの支出は今年度に比べ3.4%増の7兆8560億円になる見込み。
保険料などの収入は1.4%増の7兆9118億円の見通し。差し引きで単年度の収支は558億円のプラスになる。民間銀行からの借入金が1116億円あるため、全額をその返済に充て、12年度で借金を完済する計画だ。
08年以降、会社員の給料が減り保険料収入が落ち込む一方で、医療費支出は膨らみ、協会けんぽの財政運営は綱わたり状態。銀行からの借り入れや保険料率の引き上げでやりくりしているが、12年度の保険料も上がる可能性が高い。

協会けんぽの加入者は約3500万人で、国民の3~4人に1人が入る計算だ。会社員が企業と健康保険料を折半して毎月納め、病気やけがをしたときは病院窓口で支払う医療費の負担は原則3割で済む。08年9月末まで政府管掌健康保険として旧社会保険庁が運営していたが、その後は全国健康保険協会が運営している。

=== 引用終わり ===

(註)政府管掌健康保険が2008年10月より全国健康保険協会に移管され、それに伴い全国一律だった保険料率も医療費に応じて各都道府県別に決定することとなった。実際には2009年9月より各都道府県別の保険料率となり、8.26%(北海道)~8.15%(長野県)と定められた。更にその半年後の2010年3月には全国平均で1.14%の大幅な保険料率引き上げが行われ、9.42%(北海道)~9.26%(長野県)となった。

(註2)一方、組合健康保険の一般保険料率は各健康保険組合の実情に応じて1000分の30から1000分の100の範囲内で決めることができ、事業主と被保険者の負担割合も、上限の範囲内で事業主の負担割合を多くすることができます。

(註3)旧社会保険庁作成「政府管掌健康保険 改革ビジョン」(2005年12月13日)より
各種健康保険比較