働き方改革関連法が可決成立

 政府が第169回通常国会の最重要法案と位置付けていた働き方改革関連法は、29日午前の参院本会議で可決、成立しました。 働き方改革法には与党に加えて、日本維新の会、希望の党、無所属クラブの5会派が賛成。立憲民主党、国民民主党、共産党などが反対しました。加藤勝信厚生労働相は法成立を受けて「改革を通じて生産性向上につなげる。法の趣旨をさらに説明し、一人ひとりが実情に応じて働くことができる社会の実現に努力したい」と述べました。

 働き方改革関連法案には、残業時間の上限規制、正社員と非正規の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」、そして、高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」の新設の3つの大きな柱があるといわれています。これらのうち、中小企業にとって、残業時間の上限規制および同一労働同一賃金は、深刻な問題になってくる可能性が高いといえます。この機会に、「時間管理の見直し」および「就業規則の見直し整備」を行っておくことは、無用な労務トラブルを予防する意味で、とても重要なことです。働き方改革関連法案の概要は、以下の通りです。

1.残業時間の上限規制
残業時間の規制は「原則月45時間、年360時間」と定める。繁忙期に配慮し、上限は年間で計720時間、単月では100時間未満に規定する。
違反した企業には罰則を科す。
大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から適用する。

2.同一労働同一賃金
正社員や非正規などの雇用形態に関係なく、業務内容に応じて賃金を決める制度。
基本給は勤続年数や成果、能力が同じなら同額とする。
休暇や研修も同様の待遇を受けられるように改める。
通勤・出張手当も支給する。
大企業は2020年4月、中小企業は2021年4月から導入する。

3.高度プロフェッショナル制度
年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタントなどの専門職に対象を限定する。
残業代は支給せず、成果で賃金を決める。
4週間で4日以上、年間104日以上の休日取得を義務付ける。
一度適用されても、本人の意思で離脱可能にする。
2019年4月から導入する。

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外国人労働者に関する総理の発言

 6月5日、経済財政諮問会議で安倍総理が外国人受け入れ拡大を表明されたと、日本経済新聞電子版ほか各種の報道媒体が伝えていたのが昨日のことでした。外国人労働者に関する政策、また、移民受け入れ政策を国の最高指導者が大きく変換することを表明したのです。外国人労働者の受け入れ拡大に関しては、先に骨太の方針にも明記されるということがいわれておりましたが、これは我が国の将来に多大なる影響を及ぼしかねない一大事であり、本来は国民的な議論を経て決定されてしかるべき重要問題だと思います。移民受け入れ政策を、本来保守と見られていた現政権が推し進めることは、現政権が行った大きな失政として、将来省みられることになることでしょう。

 低賃金で働く労働者を受け入れたい経済界の意向を反映する日本経済新聞社の記事は、外国人労働者の受け入れに関して驚くほど肯定的かつ積極的です。記事を要約すると以下のとおりで、骨太方針に明記されるといわれていた内容と軌を一にしています。

1.人手不足が深刻な建設、農業、宿泊、介護、造船などの5業種を対象に2019年4月に新たな在留資格を設ける。原則認めていなかった単純労働に門戸を開き、2025年までに50万人超の就業を目指す。

2.政策の変更は、「移民政策とは異なる」と説明し、「一定の専門性・技能を持つ即戦力の外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを早急に構築する」と訴え、菅義偉官房長官と上川陽子法相に制度設計に向けた調整を指示した。

3.政府は今月中旬に閣議で決定する経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に新資格の創設を明記。今秋の臨時国会にも入国管理法改正案を提出する構想。

4.外国人労働者を受け入れるために新たに設けられる方法の一つは、最長5年の技能実習制度。技能実習生は研修期間を終えると本国に帰還しなければならなかったが、技能実習で得た経験を生かしてそのまま国内で仕事ができるようにする。
 もう一つは、新たに導入する試験に合格すること。日本語の能力水準はある程度の日常会話ができる「N4」を原則するが、建設や農業などでは日本語がさらに苦手な人でも認める。技能面の能力を確認する。

 記事は、欧州における移民政策の失敗例にも言及して、次のようにまっとうなことも述べてはおります。
<日本政府がまず取り組むべきなのは日本語教育だ。行政と企業が連携し、学習機会を提供しなければならない。就労環境の改善へ外国人と日本人の不当な賃金格差を禁じ、社会保険加入の徹底も必要だ。安い賃金で外国人労働者を使い倒すという発想では「選ばれる国」から日本を遠ざける。結果として日本の国際競争力を落としかねない。日本の準大手ゼネコンの幹部は「日本語や技術のレベルをどう担保するのか。制度面も含めまだ課題がある」と指摘した。>

 しかし、日本語教育にしても、社会保険加入にしても、コストがかかります。経済界が外国人労働者の受け入れにこれほど熱心なのは、所詮低賃金の労働者を使いたいという需要に過ぎないので、ただの理想論に終わるおそれが大きいきれいごとです。日本語の話せない低賃金労働者が増えれば、社会が分断され、治安が急速に悪化することは避けられないことです(西欧諸国で既に実証済み)。また、彼等も年齢を重ねますし、さらに家族も帯同するということになれば、将来的に社会保障のコストは一層かさむことになるでしょう。さらに、低賃金で働く外国人の存在は、日本全体の労働者の賃金を引き下げ、悪くすれば失業者を増やす要因となり、一般の日本国民の貧困化に拍車をかけかねないのですが、これはさらに社会の分断を促進することになります。

 外国人労働者受け入れ拡充は、いくら総理が違うと抗弁されても移民受け入れ政策です。こういう将来に禍根を残す重大な政策変更に関して、生産年齢人口が減るからという理由で、受け入れるのが必然のように考えるのは、明確な誤りです。もはや、国民的な移民反対の議論を巻き起こすときが来ていると確信しています。

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定年後の再雇用で賃金格差は違法か_長澤運輸事件最高裁判決

 定年退職後に嘱託社員として継続雇用されていた従業員が、定年退職以前と同じ仕事をしていたのに賃金が大幅に減額されたのは不当として訴えていた長澤運輸事件について、賃金引下げを不合理ではないとした高裁判決を結論としては支持しました。ただし、精勤手当の不支給については不合理との判断を下しました。この事件、一審では原告の従業員側が勝訴、二審では、継続雇用された嘱託社員について、かかる待遇をするのは社会通念上一般的として原告の敗訴となっていました。

 最高裁は「労働条件の差が不合理か否かの判断は賃金総額の比較のみではなく、賃金項目を個別に考慮すべきだ」との初判断を示しました。賃金項目を個別に検討し、全営業日に出勤した正社員に支給される月額5000円の「精勤手当」について、嘱託社員に支給されない点を「不合理」と判断、この部分の東京高裁判決(2016年11月)を破棄し、会社に対して相当額の5万~9万円を3人に支払うよう命じました。

 その他の基本給や大半の手当については、3人が近く年金が支給される事情などを踏まえ、格差は「不合理ではない」として請求を退け、精勤手当に連動する超勤手当の再計算の審理のみを同高裁に差し戻しました。

 そもそも、高年齢者雇用安定法で65歳までの雇用が事業主に義務付けられた背景は、老齢厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたことと強い相関関係があります。国は、従来の60歳定年制では、60歳から65歳の間の無年金者の生活保障を企業にお願いしたということです。ですから、いくら「同一労働・同一賃金」とうそぶいてみたところで、定年後の嘱託社員の待遇について、一審で下されたような紋切り型の判断はできなかったと思われます。そういう意味で、今回の最高裁判決は、玉虫色の印象をぬぐえないと思います。とはいえ、我が国の労働市場における生産年齢人口の急速な減少という現実に目を向けると、人材確保のためには、定年自体の延長が近い将来にも必須となってくることが予想されます。そうだとすれば、60歳代前半の嘱託社員そのものが、消滅してしまうかもしれません。

 また、この日最高裁は、契約社員のドライバーが、正社員にのみ諸手当等が支給されるのは労契法に抵触する不合理な労働条件として差額を求めた訴訟、ハマキョウレックス事件については、通勤手当など4種類の手当の格差を不合理とした高裁判決を支持したうえで、皆勤手当についての格差も「不合理」と判断しました。

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骨太の方針に外国人労働者促進策を記載

 イタリアの政治的混乱が世界の株式市場に影響を及ぼし始めています。イタリアの政治的混乱は、欧州の大国の一つである同国の欧州連合離脱にまでつながるかもしれないというのが、市場の予測する最悪シナリオのようです。そもそも、なぜ欧州連合加盟国の一部で離脱の動きが強まっているのかといえば、根本にあるのは、連合に加盟したままで大量に流入してくる移民ないしは難民に何ら制限がかけられない問題に対処できないからです。欧州では、大量の移民ないし難民を受け入れ、単純労働に従事する労働者として活用しようという政策を多文化共生と言いつくろってきましたが、もはや、多文化共生は完璧なまでに失敗に終わりつつあります。

 欧州における多文化共生政策の失敗という結果が現に存在しているのにもかかわらず、欧州から遠く離れた東亜の片隅で、将来に禍根を残すことが透けて見える外国人労働者政策をこれから促進しようという狂った国があります。5月29日の日経新聞電子版によれば、「政府は6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に最長5年間の新たな就労資格を設ける方針を明記する。今後原案を基に、詳細な条件などを詰める。」とのことです。記事の要旨は、次の通りです。

1.政府は人手不足に対処するため2019年4月以降に技能実習の修了者は最長5年の就労資格を得られるようにする。

2.2019年4月に建設、農業、宿泊、介護、造船業の5分野を対象として「特定技能評価試験」(仮称)を新設し、合格すれば就労資格を得られる。各職種ごとの業界団体が国が求める基準をもとに、日本語と技能の試験を作成し実施する。

3.日本語能力の基準は原則、日本語能力試験の「N4」とする。「N1」~「N5」の上位から4番目で「ややゆっくりとした会話がほぼ理解できる」水準だ。同試験を運営する日本国際教育支援協会によると「300時間程度の学習で到達できる」という。建設と農業は「N4まで求めない」として、さらに日本語が苦手な人でも受け入れる。例えば農業では「除草剤を持ってきて」という質問に該当する写真を選択できれば採用する。

4.これにより政府は2025年までに5分野で約50万人超の受け入れを目指す。建設では78万~93万人程度の労働者が不足する見通しで、計30万人の確保を目標にする。農業では高齢化で2023年までに4万6000~10万3000人程度の労働者が不足する。新資格で2万6000~8万3000人程度を受け入れる。介護分野でも、55万人の人材を新たに確保する必要があり、政府は報酬拡大などの手当てを講じている。国内では足りず年1万人程度を海外から受け入れる。

 骨太の方針には、本来、プライマリーバランスの黒字化目標の見直しないし削除、消費税増税の凍結など盛り込まれるべきだと思っていたのですが、外国人労働者の流入促進とは開いた口がふさがりません。

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貨幣と経済

 一年ほど前だと思われますが、中野剛志氏や三橋貴明氏が国民経済の解説をされる中で、「信用貨幣論」について何度か取り上げておられるのを動画などで拝見しました。その際には、何となくわかったようなわからないような感じでしたが、改めて勉強しなおしてみました。今後、財政健全化論や消費税再引き上げが議論されることになると予想されます。その際に、お金とは何か、国民経済とは何か、基本的な理解が非常に重要なことは言うまでもありません。正直なところ、浅草社労士も、曖昧なところがまったくないとは言い切れないところが心苦しいのですが...。


1.信用貨幣論

 信用貨幣論とは、「貨幣とは、負債の一形式であり、経済における交換手段として受け入れられた特殊な負債である。」とする考え方です。人口に膾炙している、また、一般的な教科書に書かれているような商品貨幣論とは、真っ向から対立する概念のため、少々頭を混乱させます。信用貨幣論を敷衍すると、貨幣とは、共通の計算単位(円、ドル)で表示された負債のこと、ただし、返済不能の可能性がある負債など誰も受け取らないので、返済不能の可能性が極めて低い負債だけが貨幣として使われることになります。そして、そのような通貨とは、「現金通貨(中央銀行券と鋳貨)」および「銀行預金」のことであるということです。

貨幣の定義
(1)価値の単位が表示
(2)譲渡性 借金の返済ができる?
(3)債権・債務の記録
(4)担保性

2.預金通貨の創造

 信用貨幣論によれば、銀行の信用創造について、銀行が貸し出しを行うことで銀行預金が創造されると考えます。例えば、A社が市中銀行から1000万円借り入れたという場合、銀行に元手がなくても、銀行がA社の預金口座に1000万円と記帳するだけで、銀行の貸借対照表の借方には1000万円の貸出金および貸方の銀行預金1000万円が記帳され、A社の貸借対照表には銀行預金1000万円が借方に、借方には1000万円の借入金1000万円が記帳されるというわけです。「銀行は、個人や企業が貯蓄するために行った銀行預金を原資として、貸し出しを行う。」という伝統的な解説は、ここでは否定されます。そのような原資などはなくても、銀行はいくらでも信用創造できることになるのですが、ただし、信用創造は、借り手の返済能力によって制約されることになるので、当たり前ですが、無限ではありません。




3.銀行預金はいつでも現金通貨に交換できる、それでは、何が現金通貨の価値を担保しているのか?

 その答えは、国家が通貨を「国民の納税義務の解消手段」として法定しているから(=通貨の価値を保証しているのは、徴税権を有する国家権力)です。だとすると、国家は、税収以上の貨幣を流通させる必要があるということになります。なぜなら、貨幣の流通量が少ないと税収だけで流通貨幣が吸い取られてしまい、貨幣が欠乏してしまうことになりかねないからです。

 ただ、この考え方も、経済学の理論に引きずられ過ぎているというのが三橋氏の見解で、むしろ、物やサーヴィスを作り出す生産資産(設備、インフラ)+非生産資産(土地、資源、漁場など)+対外純資産、すなわちこのように定義される国富こそが、現金通貨の担保であると考えておられます。





4.財政政策と金融政策との関係

 信用貨幣論の立場からは、税制健全化論が意味を成しません。なぜなら、銀行の預金は、銀行貸出しの制約にはならないのと同様に、民間金融資産は、政府債務の制約にはならないからです。つまり、銀行の国債購入が政府預金を増やすのだから、国債増発により得た資金を政府が支出すれば、民間金融資産はその分増えるというわけです。

国債発行(=財政赤字)が通貨(預金)供給を増やす仕組

(1)銀行が国債を購入すると、銀行保有の日銀当座預金は、政府の日銀当座預金勘定に振り替えられる。

(2)政府は公共事業発注に当たり、企業に政府小切手で支払う。

(3)企業は、取引銀行に政府小切手を持ち込み、代金の取り立てを依頼する。

(4)銀行は、小切手相当額を企業の口座に記帳(=預金創造)、同時に日銀に代金取立てを依頼する。

(5)政府保有の日銀当座預金が、銀行の日銀当座預金勘定に振り替えられる。

(1)銀行が国債を購入すると、銀行保有の日銀当座預金は、政府の日銀当座預金勘定に振り替えられる。