日本年金機構の外部委託問題

 第169回通常国会の会期中ですが、企画型裁量労働の適用拡大のために作成された厚労相の基本データに誤りがあったことから始まって、財務省の森友決裁文書の書換え問題、文科省の前川前事務次官による課外授業への介入問題、そして、この日本年金機構の問題と、立て続けに顕在化してきています。これらに共通するのは、行政による独断専行や危機管理意識の低さを露呈したことです。報道機関は、そういった側面を繰り返し報道しますので、行政に対する国民の不信感は、間違いなく増幅させられるということです。

=== 日本経済新聞電子版 平成30年3月21日から一部転載 ===

 日本年金機構がデータ入力を委託した情報処理会社で契約違反が発覚した問題で、機構は20日、3月中に開始予定だった自治体とのマイナンバー連携が延期される見通しになったと明らかにした。同社はデータ入力ミスや中国の業者に無断で再委託していたことが相次ぎ判明した。機構は委託業者の管理手法や監査体制を抜本的に見直す。

 政府は年金の受給開始の申請手続きなどを簡単にするため、マイナンバーを使って機構と自治体の情報連携を始める予定だった。2015年に125万件の個人情報が流出した問題を受け、昨年1月の予定だった実施時期を延期。今回の問題の再発防止策がまとまるまで再延期する方針で、実施のめどはたっていない。

 機構は所得税の控除を受けるのに必要な申告書について、所得やマイナンバーに関する情報入力を情報処理会社のSAY企画(東京・豊島)に委託。同社は501万人分の氏名を入力する作業を無断で中国の業者に再委託していた。機構の水島藤一郎理事長は20日に記者会見し「心配と迷惑をおかけし深くおわびを申し上げる」と謝罪した。

=== 転載終わり ===

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健保組合の財政悪化問題

 平成37年(2025年)までに「大企業の健康保険組合の4分の1は財政悪化で解散の危機に追い込まれる。」という驚くべき記事が7月15日の日経新聞電子版に掲載されておりました。財政悪化の主な要因は、高齢者医療制度に対する支援金の増加です。特に、平成29年度からは、算定方法が加入者の人数に応じて計算する方法から「収入」を基準とする方式「全面総報酬割」に移行したことにより、大企業の健保組合など大幅増となったところが多いようです。健保組合にして見れば、保険料が協会けんぽを上回るような状況で社員の福利厚生のため健保組合を維持してゆくという意味が薄れ、そのまま解散に追い込まれるのは必然の流れともいえます。世界に冠たる国民皆保険制度を維持してゆくために、発想の大転換を図らないといけない時期に来ているのかもしれません。かといって、全ての国民が安心して医療を受けられないのに、自己責任で片付けるようなどこかの国の制度をなぞるような愚かな行為をしてはなりませんが。


=== 日本経済新聞電子版 平成29年7月15日 ===

 健康保険組合連合会(健保連)がまとめたこんな内部試算が明らかになった。高齢者向け医療費を補填するための「支援金」が急増するのが主因だ。保険料率が加速度的に上昇していく恐れが高く、高齢者の負担適正化やムダ排除など医療費抑制の議論が避けて通れない。

 東北地方のある企業は高齢者医療向け支援金の割り当て増で保険料率が中小企業が主に加入する協会けんぽを上回る10%超まで上昇。「健保組合を維持する意味が無い」。これ以上の支援金負担増には耐えられないと判断し、組合を解散して協会けんぽに加入した。

 大企業の健保組合は約1400あり加入者は約2900万人。保険料は企業と従業員が原則、折半している。現役加入者への医療費だけでなく、65歳以上の高齢者医療費にも多額の保険料を「仕送り」する仕組みが財政をむしばんでいる。健保連によると17年度は全組合の7割で収支が赤字の見通しで、赤字額は合計3000億円超に達する見込みだ。健保連が内々にまとめた試算では、25年度に協会けんぽの保険料率以上となる組合は380と全体の4分の1に上る。同料率は協会けんぽが赤字にならないように設定する「収支均衡保険料率」と呼ぶもので、このラインを越えた健保組合は協会けんぽに移ったほうが料率が下がるため、解散の引き金になりやすい。

 試算では、25年度には現役世代向けの支出(給付費)が4兆4200億円と15年度と比べて17%増える一方、支援金の伸びはさらに大きく39%に達する。実額では支援金は4兆5400億円まで膨らみ、この段階で組合員向けの医療費を「仕送り」分が逆転する。加入者の負担は増加の一途だ。保険料率は15年度の平均9%から25年度に同11.8%に急上昇する見通し。健保組合では実際の年収ではなく、国が定めた「標準報酬」という収入額に料率をかけて保険料をはじき出す。年収600万円のモデルケースの場合、保険料の自己負担分だけでもこの間におよそ8万1千円増えることになる。

 医療費の約6割は65歳以上の高齢者が使う。推計では医療費が25年度にかけ年3.7%ずつ増えると仮定。ここ数年の傾向からすると高めの数字だが、伸び率を3.2%とした中位推計でも25年度には支援金が医療費を逆転する。支援金の計算方法は「総報酬割」という仕組みに今年度から全面的に切り替わった。加入者の人数に応じて計算していたが、新方式では算定の基準が「収入」に変わり、収入の高い加入者が多い大企業へのしわ寄せが強まった。すでに出光興産の健保組合が今春に13年ぶりに保険料を引き上げるなど、料率を低めに据え置いてきた組合も軒並み料率を引き上げている。

 協会けんぽには15年度で約1兆3千億円の国庫補助が投入されている。仮に380組合が解散して協会けんぽに合流してくると国の財政負担も1800億円増える計算だ。

=== 転載終わり (下線は浅草社労士) ===

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子供・子育て拠出金率が引き上げられました

 健康保険料と厚生年金保険料は事業主と被用者で折半のはずですが、実際には使用者の負担する社会保険料の金額の方が若干高くなっております。この原因は、すべての被用者の標準報酬月額に一定の料率を乗じて求める子供・子育て拠出金といわれるものを事業主が全額負担しているためです。同拠出金は、児童手当その他の子育て支援のための原資となっています。

 その子供・子育て拠出金が、平成29年4月から1000分の2.3に引き上げられています。社会保険料の支払いは、1箇月遅れになるため、5月納付分から社会保険料の納付額がその分増額となります。

 子供・子育て拠出金 料率推移
 
 平成24年4月~28年3月 0.15%
 
 平成28年4月         0.20% 
 
 平成29年4月         0.23%

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10年年金とその注意点

 平成29年も早や4月に入りましたが、激動の世界情勢は今月に入ってその動きを加速しているかのようで何やら不気味です。

4月4日  シリアの政府軍が化学兵器を使用したとの報道が伝えられる
4月5日  北朝鮮が日本海にミサイル発射
4月6日  トランプ-習近平首脳会談フロリダで始まる
4月7日  地中海の米海軍艦船、シリアの空軍基地に対し、59発の巡航ミサイル「トマホーク」発射
4月8日  米原子力空母打撃群が朝鮮半島に向けて移動開始
この間、ロシアの古都やストックホルム、今朝はエジプトのアレキサンドリアなどでテロが勃発しています。

 我が国も平和を維持するために、真剣に有事対応を計画し、実行することを余儀なくされる段階に既に達しているのか、その途上にあるのかわかりませんが、非常に危険な世界情勢をすべての国民が自覚し、意識を変えるべきときだと思います。

 さて、10年年金の話です。「年金受給資格期間短縮法(年金機能強化法の一部改正)」で、本年8月1日より年金受給資格期間が25年から10年に短縮されることになり、新たに推計約64万人が老齢年金の受給資格期間を得ることになるとされています。この措置で新たに支給されることになる年金額は約2000億円と試算されており、単純計算で一人当たり312500円となります。本年3月から、年金加入期間が10年以上あり25年未満、かつ、年金受給開始年齢を過ぎていると日本年金機構が判断できるデータを持っている方に対して、年齢の高い順に年金機構から「年金請求書が」送付する作業がすでに始まっています(10年年金の請求書発送始まる)。

 年金受給資格期間短縮措置の対象になるのは、(1)老齢基礎年金、(2)老齢厚生年金、(3)退職共済年金(一元化後は厳密には厚生年金だが、いわゆる共済系の年金)、寡婦年金とこれらに準ずる旧法老齢年金(旧国民年金の老齢年金・通算老齢年金、旧厚生年金の通算老齢年金、旧船員保険の通算老齢年金等)だけです。ここで注意すべきは、遺族基礎年金・遺族厚生年金の長期要件(年金受給権者の死亡又は年金受給資格期間満了者の死亡)については、期間短縮措置の対象にはならないことです。従って、10年年金の対象となって新たに老齢年金を受給される方が将来亡くなった場合に、遺族年金が支給されることはありません。

 また、寡婦年金というのは、第1号被保険者としての受給資格期間を満たした夫が、老齢基礎年金を受ける前に死亡した場合、10年以上の婚姻期間を有する生計維持されていた妻に対して60歳から65歳になるまでの間、支給される有期年金です。ここでいう夫の第1号被保険者としての受給資格期間というのが、本年8月1日以降に死亡した場合から、25年ではなく、10年でよいということになるわけです。

 今回の年金受給資格期間短縮措置の効力が発生するのは、平成29年8月1日になります。年金の受給権が発生するのは常に1月遅れですので、9月支給分(実際の支給は10月13日)からになります。

20170210_水上訓練@隅田公園

10年年金の請求書発送始まる

 本年8月(10月支給分)から公的年金の受給資格期間が10年に短縮されるのに伴って、新たに年金受給資格が生じる対象者への老齢年金の請求書送付が始まりました。対象となるのは、10年以上25年未満の加入期間がある65歳以上の人など約64万人とされています。年金請求書は、今回一斉に64万人に送付されるわけではなく、8月までに徐々に受給権者のもとに届けられるとのことです。ただし、納付期間は10年未満でも学生や専業主婦が任意加入であった時代の合算対象期間などを加えて10年になるような方には請求書は送られてこないので、年金事務所に照会したり、社会保険労務士に相談することが推奨されます。

20170210_梅園@隅田公園